ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

京都 祇園祭の歩き方 シルクロードの極東から、古代の国際感覚を想う

京都祇園 八坂神社のお祭り

祇園祭貞観11年(869)に始まり、以来、千百年五十年続く八坂神社のお祭り。

貞観」と云えば、東日本大震災で知られるようになった貞観地震(じょうがんじしん)が869年7月。

列島を襲った巨大災害が契機になったと想像でき、そういう意味では最初の頃は「祀り」というべきものだった。

www.yasaka-jinja.or.jp

【抜粋】

貞観年中(859~877)京の都に疫病が流行したとき、勅を奉じて神泉苑に66本の鉾を立てて祇園の神を迎えて祭り、洛中の男児祇園社の神輿を神泉苑に送って厄災の除去を祈ったのに由来し、平安時代の中頃からは規模も大きくなり、空車、田楽、猿楽等も加わって盛んな賑わいを見せてきました。

始まりは自然災害直後の切実な「祀り」

須佐之男命(スサノオノミコト)の力強さは天変地異から人々を守る。

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八坂神社 祇園祭宵宮奉納 石見神楽

六十六本の鉾を憑代(よりしろ)として列島の神々(祇園)を都に緊急招集して平安を祈った。

「鉾」は神様がやって来た時の目印、「山」は神様の宿る所、神籠(ひもろぎ)の意味があると考えられる。

ひとつひとつが臨時の神社という考え方だ。

上賀茂神社の立砂は一種の神籠で神様が降臨する憑代。祇園祭の山には神籠に見立てた山が盛られている。

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上賀茂神社 立砂

左:太子山(たいしやま)、右: 郭巨山(かっきょやま)。いずれも飾り付け前。山が盛られた神籠。

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太子山(たいしやま) 郭巨山(かっきょやま)

古代の万博パレード

平安時代になって、当時の世界の様々な文物や芸能要素がそれぞれの山鉾に加えられ、パレード的な「祭り」に変化し、現代まで続いてきた。

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京都は、シルクロードの果て「極東(Far East)」の都

意外かも知れないが、シルクロードの終わりが平安京平安京の前は平城京だった。

大阪・上町半島(現在の上町台地)の四天王寺難波宮は、海外からの来訪者を迎える迎賓機能になった。

極東(きょくとう)という言葉は「Far East」に由来する。ヨーロッパ・中東からのパースペクティブ(見通し)で、ユーラシア大陸という巨大な視野でのとらえ方だ。

教育の問題もあり、私を含む日本人にはそういう視野が不足しがちだが、「向こう側」から見れば日本はユーラシア大陸の端で繋がっている感覚。

日本海は大陸の大きさから見れば、ドーバー海峡のようなものだろうか。

弥生後期~古墳~奈良時代シルクロードを通じて様々な民族・人種の人々が「極東」にやってきて少しずつ定住してきた。中には有力な氏族になる者たちもいた。

秦氏(はたうじ)の子孫、伎楽で著名な東儀氏の先代だったか・・・記憶が曖昧であるが「自分たちの祖先はシルクロードからやって来た」という風なことを言っておられるのを読んだことがある。(声楽家東儀秀樹さんの家系)

世界の最新の文物を観て楽しむという「古代の万博精神」は望郷の想いも混ざっていたのだろうか。

日本という国はさまざまな影響を海外から受けてきたが、器用に習合させながら「取り込んだ」

例えば七福神が、ヒンズー・道教・出雲の信仰を習合させながら日本の土着信仰になったように。

日本の古代では「それが当たり前」という考え方で、祇園祭を見物すると、古代の日本とインターナショナルが混ざり合った不思議な雰囲気を、より楽しく深く味わえるのではないだろうか。

近くで感じる祇園祭

混雑する中、規制され、遠くからあっという間に流れて行く山鉾巡行を観るだけではなく、前祭宵山(宵々山)や巡行日の朝から鉾町を訪ね歩き「近くで感じる」だけでも思い出になること、請け合いだ。

ここ2日の記事がその参考になればと思う。人それぞれに新たな発見があるかも知れない。

もちろん祇園祭は切実な祈りから始まったことも、自然災害の多い列島に住んでいる者として忘れてはならないことだ。

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今年はすべての説明板を忘れずに撮影した。必ずヒントがあると考えている(公式サイトでも同じものが読めます)

いくつかこれは!?というものを見つけた。これからの謎解きに役に立つと思う。

下鴨神社賀茂御祖神社)でもそうだが、特に京都は要注意、見逃してはならない。

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