ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

生物?分子ロボット? ウィルスはこうして増殖する

もう10年前ぐらいになるだろうか。

2009年に大流行した新型インフルエンザで、3人の息子が感染したが、その時に『ウィルスとは何ぞや?』ということで買った本が、断捨離敢行中の、我が家の押入れの奥から出て来た。

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憧れのMIT(マサチューセッツ工科大学)の大学教養課程の教科書という宣伝文句とビジュアルがキレイだったこと、

MITでは『生物学を専門としない学生でもこの教科書を学ばなければならない』というまえがきに感心して衝動買いした。

教科書が毎年のように書き換えられる日進月歩の生物学の本なので、2010年版は少し古いと思うが、ウィルスのことを知るのによいかもと思い、さわりを紹介。

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左のロボットか宇宙人に見えるものが、分子生物学の研究で標準的に使われるT4というウィルス。

右は大腸菌。説明にも書いてあるが、T4は大腸菌の約10分の1の大きさだが、ウィルスとしては超大型の部類。

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ウィルスは、例えば細胞膜に取り付いて、細胞の内側に入り込むため小さい。

素人なので簡単にしか書けないが『(取りつく相手の)細胞の材料を使って自分を自動複製する、生き物なのか、生き物でないのか、分からないもの』というところか。

T4の名前の意味は知らないが、Tはターミネーターじゃないかと思ったりする。笑

新型コロナ(の消毒など)で『エンベロープ』という言葉が時々でてくるが、ウィルスの中身であるRNA(遺伝子、遺伝子の鋳型)をくるむ上着のようなもの。アルコールはこのエンベロープを壊すので、インフルエンザに消毒効果がある、

逆に、ノロ(食中毒原因)のような「エンベロープが無い」タイプのウィルスには効果がない、ということになる。

新型コロナは「エンベロープがあるタイプ」で、表面にイボイボがあって(太陽のように見えるのでコロナと云う)、その先っぽで細胞のカギを開けて細胞内に入り込む。

入り込んだウィルスは上着を脱ぎ、RNAを放出し、細胞が持っている材料を使ってRNAを増やし、RNA個分の新しいウィルスとなって細胞の外に出て行き、それを繰り返して増殖する。

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インフルエンザウィルスの増殖サイクル

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HIVエイズ)ウィルスの増殖サイクル

なお、最近話題の『アビガン』は、鋳型になるRNAの転写を阻害するため、細胞内に入り込んだウィルスの増殖を抑える効果があるとされていて、新型コロナでも重症化を防ぐ薬として期待されている、という話。

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さて、なぜMITでは『生物学を専門としない学生でもこの教科書を学ばなければならない』のか、理由がまえがきに書いてある。

一般教養を高めて人間としての奥行きを拡げるということ、例えば、文系の学生が生物学の考え方・知識を学んでおけば・・・バイオテクノロジーを始めとした「技術立国」の重要な礎となる可能性がある。

いかにもアメリカらしい考え方だ。

息子らは全員、(旧?)センター試験カリキュラムで、高校二年から、生物か物理を選択する必要があり、みな、物理を選択したため、記事の内容に詳しくなかった。高校一年で学んだのかも知れないが、真面目に勉強してなかったのかも知れない。

www.zero-position.com

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