日本書記 巻第十一 仁徳天皇四年 民のかまど
*詔(みことのり)
第16代・仁徳天皇(大鷦鷯天皇、おおささぎのすめらみこと、西暦300年代の約90年間在位)は、難波の高津宮(こうづのみや)で善政を行った王として伝えられている。
とくに『民のかまど』の話は有名で、大阪市歌にもなっている(民のかまどに立つ煙、にぎわいまさる大阪市、にぎわいまさる大阪市)
(2019年7月4日記事より再掲)高津宮(こうづのみや)の高台に立ち、国見するのが日課の天皇は、しばらくの間、家々のかまどの煙が立たないのを見て、民が貧しい生活を強いられていることを悟り、三年間、ノータックス(税金なし)に。お陰で自分が住まいする宮は傷み放題、着るものもボロボロになったが、三年後、景気が回復した時、民は我先に宮を修理し、衣服をこしらえ、仁徳天皇にプレゼントしたという。今時うらやましい、エエ話やなぁ。(ここまで)
消費税10%、すでに買い物が罰ゲームの感
昨年10月の消費税アップ直後、春に2時間待ちで断念したあべのハルカスの人気店にランチチャレンジした時のこと。
20分ほど早め、それでも1時間待ちかなぁと行ってみたら難なく入店。ハルカス全体の客足も鈍く、急激な消費の冷え込みを実感した。
秋から冬、景気が今ひとつの感じで、消費税10%が罰ゲームのような気がしていたが、ようやく平年ペースに戻りつつあるかなと思い始めた2月のタイミングで中国コロナウィルス。
東京オリンピックも延期で、春の決算期では大手企業でも業績赤字のケースも出るだろうし、中小企業はなおさら。
今、アメリカを始め各国で大型の経済対策が表明されており、日本でもここ数日、近々の話が漏れてきている。
おそらくアドバルーンを上げて国民世論の反応をうかがっているのだろう。
飲食券や国内旅行券の配布など、ウィルス拡大を防止する大原則と矛盾するため、あり得ない。
経済の血液循環が当面、滞るので、今こそ思い切った対(大)策を打ってほしい。
まずは消費税5%の減税はいかが?
Z省(界隈)は10%を死守しようとするだろうが『民のかまど』の観点から、まず消費税を5%に減税してほしい。
確か、わずか半年前の増税前に「リーマンショック級でもない限り、予定どおり10%に増税する」と言っていたが、今は明らかにリーマン級、あるいは、それ以上かも知れない。
で、情報を集めて試算してみたが、5%分の国税収(=減税額)は1年で総額約10兆円。2年で20兆円、3年で30兆円。
消費税減税の場合、実行までの間に買い控えが生じるなどと宣(のたま)う向きもあるが、例えば、新年度の4月1日からなら、影響はわずかなものだ。
仁徳天皇が3年間のノータックスを決断した日は奇しくも3月下旬(旧暦ですが。笑)
(日本書記より)三月己丑朔己酉、詔曰「自今以後至于三年、悉除課役、以息百姓之苦。」是日始之、黼衣絓履、不弊盡不更爲也、温飯煖羹、不酸鯘不易也、削心約志、以從事乎無爲。是以、宮垣崩而不造、茅茨壞以不葺、風雨入隙而沾衣被、星辰漏壞而露床蓐。是後、風雨順時、五穀豐穰、三稔之間、百姓富寛、頌德既滿、炊烟亦繁
(現代語訳)3月下旬、詔して曰く。「今より三年間、すべての課税・労役を免除し、民の苦しみを取り除く」と。(仁徳天皇は)この日から破れてボロボロになっても衣服や靴をつくらせず、温かいご飯は食べず、古くなっても食料は取り替えない。宮殿の塀が崩れ、屋根が壊れても直さなかった。風雨が隙間から衣服を濡らした。屋根から覗く星々が、床をあらわにした。この後、天候も穏やかになり豊作となった。三年の間に民は豊かになった。民は日々の暮らしを謳歌し、かまどの煙もふたたび立ちのぼるようになった。
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
今は、細かな議論より、緊を以て急を制するべき段階だと思う。
経済ショック療法はサプライズが条件。
そうすれば『民のかまど』のようにピンチがチャンスになることを古代のシンデレラストーリーは物語っている。