彼らは『明治』という時代人の特質で、前をのみ見つめながら歩く。上って行く坂の上の青い天に、もし一朶(いちだ)の白い雲が輝いているとすれば、それのみを見つめて坂を上って行くであろう。
右肩上がりの時代
時代は下って昭和、1964年の東京オリンピック、大阪万博を始まりとして、社会全体が高揚した雰囲気の中、高度経済成長期に突入します。
万博開幕前後の新聞広告から、その雰囲気が伝わるでしょうか。
グングン増える
(みずほ銀行の前身の一つ)日本興行銀行の5年積立貯金の金利。
年利7.638%!例えば5年貯蓄で元金100万円が140万円(1.4倍)以上になります!
次に三菱UFJ銀行になった東洋信託銀行。元金がグングン成長します。
「年7分4厘7毛」とは年利7.47%のこと。
これ、大空を飛び始めたジャンボジェット(ボーイング747)をもじってたんでしょうね。
ストレスという言葉がまだなかった時代
この時代、ストレスという言葉自体、まだなかったんですね。
胃が痛かろうが、疲れがたまろうが、大衆薬を飲んでガンバる。
そんなライフスタイルから生まれたビジネスチャンスに、製薬各社は有名俳優を起用して宣伝競争。
(山之内製薬と合併してアステラス製薬になった)フジサワ薬品は三橋達也さん。若い人はあまり知らないかな。
懐かしのモリシゲ、森繁久彌さん。語りの上手な方でした。キャベジンを手元に語りかけます。
そういえば、当時は胃カイヨウ(胃潰瘍)を気にする大人が多かったですね。胃がんのリスクもありますから。
仲代達矢さんもお若いですね。この方のポポンSは、🎵ミュージックフェアのCMでもお馴染みでした。
最後にアリナミンA。
どうですか?この国際ビジネスマン感。今でも使えそうですね。オリンピックから走り始めた新幹線なのか、それとも最新鋭の大型ジェット機の中なのか。
『目・肩・腰の疲れ』のキャッチコピーは、こういうところから洗練されていったんでしょうね。
目まぐるしく、多忙で、何事にも"密"になって行く生活、疲れを感じながらも、大多数が『右肩上がりの未来』を疑わなかった時代です。
(続きます)