ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

【古代の常備薬(食)・葛の話】吉野と入谷(奥明日香)をつなぐ国栖人(くずびと)の道

奥明日香 入谷(にうだに)の葛(2019年9月初旬)

昨年9月初旬に、奈良から大阪のあべのハルカス大阪市阿倍野区)が見えるところとして、奥明日香の入谷(にうだに、奈良県高市郡明日香村大字入谷)を紹介し、少し考察しました。

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奥明日香の伝承(言い伝え)では、入谷は「にう、丹生」、つまり、水銀のとれる所が地名の起源で、

ここには大海人皇子(おおあまのおうじ、後の第40代天武天皇、皇后が第41代持統天皇)を支持する海人族が住んでいたと口承されています。

伝承は時として貴重な史料となりますが、皇子の名は明らかに海人族との強い絆を示唆していますよね。

おそらく、この話は、教科書には書かれていませんので、最初に読んだ時にはたいへん驚きました。(繋・明日香村の大字に伝わるはなし 明日香村文化協会 40周年記念 平成31年1月、より)

繁茂する葛(くず)

奥明日香 入谷(にゅうだに)の葛(2019年9月初旬)

急斜面に張り付くような入谷の大字には、道筋のところどころに目立つほどに大きな葛が生えており、ちょうど9月初旬、紫紅色の花(形態的に蝶型花と云います)を付けていました。

ご存知の方も多いと思いますが、クズの長大な根っこからとれるデンプンを「クズデンプン」といい、古くから滋養剤(栄養剤、食用)のほか、風邪薬の葛根湯(かっこんとう、薬用)としても利用されてきました。

生薬では「解熱」「鎮痙、ちんけい」が薬効とされています。

葛根湯

話は横道にそれますが、1870年代、飼料用、園芸用、土壌流出防止用として、アメリカに紹介され評判になったのですが、気候が合いすぎたのか、向こうでは巨大繁茂化し、森林を侵食するため、現在では有害な雑草として指定されているそうです。

(クズに限らず、園芸の世界では、こういうことがたまにあるそうですね)

くず(葛)・・・国栖(くず)・・・国栖人(くずびと)・・・縄文以来の海人族

連想ゲームのようですが、私の(妄想の)中では、ほぼ一本の線で繋がっています。

このあたりについては、少し回数をかけて書いてゆく必要がありますが、

国栖人とは、大和盆地の周囲(入谷のような高い所)に住んでいた人たちのことをいいます。

葛根(かっこん、葛の根)は奈良県吉野町の国栖人が、根から採ったデンプンの行商に、里(主に大和盆地)に下りたため、それが「くず」になり、植物名が「くず」になったという説は、ほぼそれで間違いないと思います。

吉野は、吉野葛(よしのくず)の本場ですね。

吉野葛のくずきり

入谷と吉野は約15キロ、一本道で繋がっています。

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