ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

【三面大黒堂 四天王寺】火と水と竈 『三方よし!』で安全第一・無病息災 キッチンと家族の健康を守る三面の神様

はじめに

四天王寺さんの #三面大黒堂。もとは南大門の西、万灯院の後ろ、梅園の中にあったのを現在の東門のところに遷したそうです。御本尊は #大黒天 右に #弁財天 左に #毘沙門天 の顔を持つ #トリムールティ。交差するダイコンが御神紋。江戸期らしいシャレの利いた様式です #三宝荒神 #笑ゥせぇるすまん

目次

本文

三面大黒堂 三面大黒天

緊急事態宣言の閉堂中(2020年5月16日)で、御本尊を拝むことはできませんでしたが、四天王寺さんの三面大黒天像は、正面に大黒天、右面に弁財天、左面に毘沙門天の顔を持ちます。

三面大国堂 大提灯

三面大黒天像(永代供養の看板)

三神一体・トリムールティ

このような三神一体のイメージは『トリムールティ』といい、ヒンドゥー教の三神(ブラフマー(創造)・ヴィシュヌ(維持)・シヴァ(破壊))の概念がモデルになっています。

宇宙のサイクルを表しているといわれます。

大黒天はヒンドゥー教・三大神中、シヴァ神の化身、マハーカーラ(魔訶伽羅天、とてつもなく大きくて黒いものの意。まさかブラックホール?)をモデルとした密教の神様で、古代インドでは荒々しく強大で霊験あらたかな戦神として信仰され、日本ではオオクニヌシと習合しました(室町時代ごろ)。

台所の神様

大黒天、弁財天、毘沙門天のトリムールティ化は、日本ではおそらく、火伏(ひぶせ)、水分(みくまり)、竈(かまど)の神様の一体化したもの、日本独自・古来の『台所の神様』への厚い信仰がベースになっているのでしょう。

三神別々に拝むのは大変。台所は狭いし、ひとつにまとめて一回で拝む、みたいな日本人特有のリアリズムでしょうか。

三面大国堂 ダイコンの紋

それで御神紋がダイコンなのかも。

三面大黒堂の説明板には『大根(のご由緒)は大黒天の使者、ネズミの好物だからとも、大黒天が飲食を司る神様あるからとも』と書かれています。

説明板、抜粋)大黒天の縁日に加持(祈祷)された黒豆七粒をお米と炊き、家族で分けて食べると無病息災で過ごせるという風習があり、現在も月に1回の縁日にお詣りすると、法要にて加持された黒豆七粒が配られる

四天王寺 三面大国堂

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下鴨神社の大炊殿内、比良木社の大黒天像、おくどさん三宝さんが籠るという荒神信仰

下鴨神社(京都)の神様のキッチン・大炊殿(おおいどの)には火伏と水分の神様が祀られています。

右の写真。竈(かまど)に据えられたお釜の上、王冠のようなものが三宝さん。(京都北部の周山・山國の民俗本より)

あらためて見ると、三宝さんが重しと取手のようで、信仰の中に実用性が込められているように思えます。

土間(たたき)、竈、炊飯釜、三宝さん、をまとめて「おくどさん」といいます。

三宝さんを御神像化したのが三宝荒神さん。

写真は我が家のキッチンを守っていただく朝護孫子寺三宝荒神さん。こちらは荒神さんのトリムールティです。

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喪黒福造(もぐろふくぞう)

。。。しかし三面大黒堂の大提灯。笑ゥせぇるすまんの喪黒福造(もぐろふくぞう)に見えて仕方ありません。