ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

【遠野物語】イタコ・オシラサマなど 巫女が担った東北各地の信仰【国立民族学博物館の見学より】

はじめに

国立民族学博物館。東北各地に残る #巫女の信仰と祭祀具の展示。#蝦夷 と #ヤマト の文化がぶつかった歴史のなか、長い時間をかけた #神仏習合 のスガタ。#遠野 の「娘と馬の哀しい話」#イタコ #オシラサマ #エジコ #ワカサマ #オナカマ #オガミサン

目次

本文

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オシラサマ(複製、青森県八戸市国立民族学博物館

遠野物語

日本の民俗学の先人、柳田国男が、早池峰山を臨む岩手県遠野地方の伝承を収集した説話集(明治43年(1910年)に発表)

天狗、河童、座敷童子などの妖怪たちが跋扈する世界を描き、娘と馬の哀しい話としてオシラサマも登場します。

オシラサマの伝承(遠野)(要約。Wiki参考)

ある農家の娘。飼い馬と仲が良くついには夫婦になってしまう。父親は怒り、馬を殺して木に吊り下げた。娘は馬の死を知り、すがりついて泣いたが父はさらに怒り、馬の首をはねた。すかさず娘が馬の首に飛び乗るとそのまま空へ昇りおしら様になった。(後日譚として)天に飛んだ娘は両親の夢枕に立ち、臼の中の蚕虫を桑の葉で飼うことを教え(オシラセ)絹糸を産ませ、それが養蚕の由来になった・・・以上の説話から、馬と娘は馬頭・姫頭2体の養蚕の神となったとも考えられている

オシラサマの2体は男女一対をあらわすとの考え方もあり。養蚕で繋がるのが面白いですね↓)

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オシラサマの分布

家つきの神、蚕の神、農業の神、馬の神 として、遠野の岩手県を中心に、青森県から宮城北部までの東北地方に残っています。

似た信仰として福島県のオシンメイサマ(神明?)、山形県のオコナイサマ(オクナイサマ)など、これらを含めると、日本海側も含めて東北地方に共有される原型のような信仰があり、それが地域ごとに特色化していったように思えます。

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オコナイサマ(山形県鶴岡市

巫女(Female mediums、女性の霊媒

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東北地方の巫女(展示パネル)

展示パネルでは、エジコの仏おろし(秋田県)、ワカサマの口よせ(福島県)、岩谷観音オナカマの口寄せ(山形県)、オガミサンの口寄せ(宮城県)、山田のオシラサマ(岩手県)が紹介されていました。(他にミコサマ(福島県)もあります)

イタコは津軽青森県)、羽後(秋田県、イチコとも)に存在します。

展示されている(オシラサマの)祭祀具を見てますと、巫女の役割を含めて、御幣や弓などの日本古来の神道をベースに、数珠や錫杖・お守りなど仏教のものがあり、神仏習合が見受けられます。

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イタコの祭祀具(青森県つがる市

博物館説明版文字起こし)東北地方には、イタコをはじめ各地に巫女が存在し、吉凶の占いや加持祈祷、死者の霊の招き下ろしなどを通じて人びとの生活を精神面で支えてきた。各地の巫女には共通性がある一方、呼称など、地域ごとの違いもみられる。

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アラハバキ解・汎日本古代信仰の謎に迫る(新章公開)

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