ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

【地車稲荷(だんじりいなり)】正体はタヌキのキツネ【堀川戎神社 2021十日戎 参拝】

はじめに

一月十日の #十日戎。九日は宵戎、十一日は残り福。#堀川戎神社 に参拝。境内に榎木稲荷と地車稲荷(だんじりいなり)。今はお稲荷さんですが、どうやらここ、元はタヌキだったようです

目次

本文

堀川戎神社 十日戎 参拝

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堀川戎神社 十日戎の朝

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堀川戎神社 十日戎 参拝

一昨年まで今宮戎(いまみやえびす、大阪市浪速区)で『商売繁盛』の木札をいただいてたのですが「B to Bの仕事は堀川さんの方がよいかも」という声もあって前回から堀川戎神社(大阪市北区)にお詣り。大阪のミナミは飲食店をメインに客商売が多く、キタはビジネスのオフィス街が多い、というエリア的なものも関係あると思います。

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堀川戎神社 十日戎 参拝

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文久3年(1863)国宝大阪全図 緑のポイントが堀川戎 右側の堀に囲まれた城郭は大坂城

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境内の榎木稲荷と地車稲荷(だんじりいなり)

境内の一角に榎木稲荷神社の赤鳥居。

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榎木神社(えのきいなりじんじゃ)

祠の中には珍しい地車だんじり)のカタチをした本殿。祭壇には地車のミニチュア(お供えがこれまた珍しいぐるぐるうずまきのロマネスコ*1(緑色))

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榎木稲荷神社の本殿

(関西では、男衆が引く大きな山車を、猛スピード・急角度で転回させる岸和田のだんじり祭りが有名ですね)

さらにその奥に地車稲荷(だんじりいなり)。榎木稲荷との間の通路が狭くて斜めから撮影。

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地車稲荷(だんじりいなり)

神社のご由緒には「慶長3年〈1598〉に掘られた天満堀川(てんまほりかわ)の堀止めの横(土手)に榎の大木があり、いつの頃からかその木に神霊(句句廼知神、ククノチノカミ。イザナギイザナミの神産み*2で生まれた木の神様)が鎮まっていると考え、その根元に祠を作りました」とあります。

天保9年〈1838〉に天満堀川が、大川(淀川)まで延長して掘られ通水した時に、堀川戎の土地に本殿・拝殿が造営され、その際、堀川戎神社末社稲生神社の別魂(宇賀御魂神、ウカノミタマノカミ)を合祀した。地車の本殿は戦災で焼失したのを機に昭和30年に再建されたもの」だそうです。

老タヌキ・だんじり吉兵衛のお話

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狐がだんじりを曳く絵馬

土手に榎の大木があったころ、堀川あたりに年老いた吉兵衛と呼ばれたタヌキがいたそうな。

このタヌキ、大変陽気なことが好きで、夜中になるとだんじり囃子を真似て「チキチンコンコン、チキチンコンコン」と啼いていたそうな。

まるで自分の家の前を通るように聞こえるかと思うと、遠くで囃しているようにも聞こえ、また淋し気にも聞こえ、町の衆はずいぶん怖がるとともに、やがて吉兵衛のことを厚く信仰する者もあらわれ、榎のそばに「だんじり吉兵衛」を祀っていたそうな。

*****

榎の大木とともに「だんじり吉兵衛」の霊も堀川戎の境内に遷り、お稲荷さん、どうやらケツネ*3に化けてしまったよう。

堀川戎に引っ越してから、吉兵衛のだんじり囃子はハタと止んだという。

まさかっ!というそこのアナタ。タヌキがケツネに化けることもあるんですよ。

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伏見稲荷 白狐大神という「お山」の奥のおタヌキ様 ネクタイ?姿で新年の正装

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大阪・産湯稲荷のお狸さん

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連載中「アラハバキ解・汎日本古代信仰の謎に迫る」

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*1:カリフラワーの親せきみたいな野菜

*2:日本書紀では、山の神・川の神・海の神の次に生まれた神様。ククノチの次に生まれたのが草の神。古事記ではククノチの次に山の神・草の神の順

*3:関西ではキツネのことをケツネといいます