はじめに
先日紹介したイタリアの研究チームの #前方後円墳 の考証論文、一次資料(元論文)を翻訳にかけて、理解の範囲でまとめておきます(間違っていたらスミマセン。最初に謝っておきます。笑)#ストーンサークル
目次
本文
(少し専門的です。適当に読み飛ばすなどしてください。)
■一次資料(元論文)(158前方後円墳の方位に関する衛星画像を利用した分析)
前方後円墳の垂直方位と太陽軌道の関係
とりあえず、下の写真を頭に入れて、ご覧いただくと、わかりやすいかも知れません。
イタリアの研究者は 鍵穴古墳 と呼んでいますが、鍵穴の垂直方向(台形部から丸部の墓域へ)にアクセスする廊下(回廊)が見えますね。
この方位について、衛星画像でデータを集め、統計分析した結果が次の通りです。
● (垂直方向の)アクセス回廊の方位が、真南に向く前方後円墳が(確率的に)もっとも高かった
(カーネル分布というやつです。例えば、本来は同確率であるはずのサイコロの目の出方をこういう風にグラフ化することで、イカサマかどうかを見分けることができます。)
● 大半の前方後円墳で、冬至(WS)の日の出・日の入の方向に集まっています。(円のグラフ参照)
● また毎月、月の軌道が最も南に傾いた時の出・入の方位(SMS)とも重なり、イタリアの研究者は、昼は太陽、夜は月の光が、常に射し込むように古墳の回廊の方位が決められていると指摘している点は、新鮮ですね。
ヨーロッパや北米のストーンサークルが月の方位を意識して造られているケースが多いので、気付くことができるんでしょうね。
*****ちょっと古代妄想タイム
前方後円墳のカタチは 太陽と月の光を集める壺 という見方もできそうですね。
とすると、集めた光を、アクセス回廊から円部中心に到達させる・・・つまり 石室は、被葬者が復活するための子宮 のイメージでしょうか。
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ストーンサークルと月の軌道の関係について、面白い映像を見つけたので貼っておきます。
『Major Lunar standstill』とは、約19年(18.6年)に一度の天文イベントで、北半球から見える月の軌道が、最も南に傾きます。映像では、その日に、月が地平線近くのサークル中心の4つのストーンを、順番に通過してゆく様子が紹介されています。
日本語にすると『月の大停止』という意味になりますが、実際に月は停まったりはしません。高い北の空から南に降りてきた軌道が、また、上ってゆく時期、月が停止したように見えるので、そう呼ばれているそうです。
前方後円墳の水平方位と太陽軌道の関係
こちらは、前方後円墳の台形部のベースラインの方位を同じように分析したものです。
● 円グラフの半分、大半で、夏至(SS)の日の出~冬至(WS)の日の入の範囲に、ベースラインの方位が集まっていたという結果です
● 中でも、夏至(SS)から冬至(WS)の日の出方位、特に真東に集中していることがわかります
本報告では、日本にはアマテラスとツクヨミという日月の神を信仰する宗教(神道)があること、神道・神話との関連性に基づいて、各地域ごとの古墳群ごとに分析・理解してゆくことで、各地の古代における政治的宗教的な認識も高まる可能性を指摘しています。
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ふぅ~疲れた!笑
■月と太陽の軌道(月の入方位メイン、2000年9月~2030年9月)
前回の『Major Lunar standstill(月の大停止)』は、2006年6月。
次回は、2025年4月。
月の軌道サイクルには、18.6年の大周期と、ほぼ一ヶ月(27.1日)の周期があります。大周期のうち最も振幅が大/小の極端な2つの状態をmajor standstill(大停止)/miner standstill(小停止)と言います。下記リンクで、その仕組みがよくわかります。
日食は月の軌道と太陽の軌道が重なる時(equalized standstill)に起こります。