はじめに
奈良盆地の中央、古墳時代の #鏡作郷 を探訪。#天目一箇神 を御祭神とする #鏡作麻気神社 に参拝。境内に掲示された #田原本町 の由緒案内には #笠縫と鏡作 についての重要な #点と線 が書かれていました #たたら製鉄 #村下(むらげ)
目次
本文
鏡作麻気神社の御祭神は天目一箇神
唐古・鍵遺跡(公園)から県道24号線を南に約1キロ。
田原本町小坂の 鏡作麻気神社(かがみつくりまけじんじゃ)
(34.56212593920415, 135.79687133518587)/奈良県磯城郡田原本町小阪244/駐車場はありません
御祭神:麻比止都禰命(まひとつねのみこと、別名:天目一箇神(あめのまひとつのかみ))
御祭神には様々な名があります(Wiki)が、天目一箇神(あめのまひとつのかみ)というと知っている人も多いと思います。
日本神話に登場する たたら製鉄・鍛冶の神様 。
同じ田原本町(蔵堂)の村屋坐弥冨都比売神社(むらやにますみふつひめじんじゃ)の境内に神様パネルが掲示されていたので参考に。
一つ目の神様なんてちょっとコワい感じですが、たたら製鉄(例えば)のリーダー・村下(むらげ)のことをあらわしているという説があり、私はそれに同意しています。
たたらの(例えば鉧押し、けらおし)の現場は過酷で、村下は最高品質の 玉鋼 を得るため、操業中の四日間、溶鉱炉の炎を監視し続けるのですが、長年の蓄積(網膜の火傷)で、利き目の視力を失う者も多かったと云われます。
田原本町観光協会・由緒案内)延喜式内社。祭神の麻比止都禰命(まひとつねのみこと)は、日本書紀に「作金者」として記される天目一箇神(あめのまひとつのかみ)であり、鍛冶に関わる神とされる。
この事は弥生時代、唐古・鍵遺跡で、銅鐸など、金属鋳造技術集団が、古墳時代になり、鏡作部に継承され、この鏡作郷の地で、金属鋳造が行われて来たのであろう。
先日、古代妄想仮説として『弥生時代の銅鐸づくりから古墳時代の銅鏡づくりへ製銅技術が継承された可能性が十分に考えられる』と書きましたが、境内の田原本町観光協会作成の由緒案内に、その通り、書かれていました。
参考に、鏡作郷(かがみつくりのさと)に鎮座する鏡作名称の神社の地図を揚げておきます。
大和・鏡作郷と摂津・笠縫の里を繋ぐ『点と線』
この笠縫と鏡作シリーズを始めたきっかけが、摂津笠縫の里(大阪市東成区)の伝承と すげ笠造りと鋳物鋳造 の伝統だったのですが、案内文は、摂津と大和を繋ぐ点と線についても言及してくれていました。
現在、大阪府の東大阪を中心とした小坂・今里・八尾で、金属加工業界が多いが、この金属加工の人々の祖先は、大和の田原本付近だと伝えられ、田原本町にこれら小坂・今里・八尾の地名が共通する ことと関係するかも知れない
案内に出てくる『今里』は、唐古・鍵遺跡の西側の地名で、一帯では唐古・鍵に関連する遺跡が複数、発見されています。
なお大阪の今里は、大阪市東成区の地名で、摂津笠縫の里(近鉄布施駅から徒歩10分)とは近鉄電車で一駅の近さ。
笠縫の里…現在の深江一帯は、鋳物師の街として栄え、知られていました。
(深江郷土資料館は、人間国宝の鋳物師・角谷一圭氏(故人)を記念した施設で、息子の当代・征一氏の作品もあわせて展示されています)
摂津河内の小坂・今里・八尾は、いずれも、古墳時代(中期以降)の ウォーターフロントものづくり圏 に含まれます。
鏡作麻気神社 境内