はじめに
諏訪信仰の源流 #ミシャグジ信仰。私たちはその第一人者 #今井野菊 さんの粘り強い踏査とリスト化のおかげで、もう一歩進めた古代史考察ができます
目次
本文
今井野菊(いまいのぎく)さん
今年の諏訪訪問で、よく参考にさせていただいたのが今井野菊さん(1900〜1982)。
諏訪信仰の源流とも言うべきミシャグジ信仰研究の第一人者。
プロフィール)1900〜1982。長野県茅野市出身。諏訪高等女学校卒業後、教員となる。旧宮川村誌編纂研究会会長として同誌の編纂に奮闘する一方、諏訪大社に関連する信仰の研究に邁進。ミシャグジ・テンパク・チカトウ等の踏査集成を広範囲にわたって行い、後世に大きな影響を与える。「諏訪ものがたり」「神々の里−古代諏訪物語」「御社宮司をたずねて」「洩矢民族・千鹿頭神」などの著作(古代諏訪とミシャグジ祭政体の研究[人間社文庫]より)
全国各地のミシャグジ信仰のこん跡(神社など)を、丁寧にひとつひとつ踏査し、リスト化した業績は、この国の信仰の根源を知りたい私たちにとって、かけがえのない遺産であります。
ミシャグジ信仰圏(チカト・テンパク信仰圏を内包)
今井さんの視野はさらに広いものですが、とりあえず、諏訪(湖)を中心としたミシャグジ信仰と、ルーツが同じ千鹿頭(チカト)・天白(テンパク)信仰が「濃厚に」拡がっているエリアをざっくり描いてみました。
諏訪(湖)を中心としたミシャグジ信仰の濃厚エリアは、東は栃木、西は滋賀・三重にまたがる広大なもの。
その中に、関東甲信エリア(栃木、群馬、埼玉、山梨)にかかるチカト(千鹿頭)信仰圏、
中部東海エリア(愛知・三重・岐阜・静岡)にかかるテンパク(天白)信仰圏が内包されます。
嬉しいことに、今井さんのミシャグジ社リストは、文庫本の「古代諏訪とミシャグジ祭政体の研究」(人間社文庫)に全て収載されていますので、興味のある方は是非、手にとってお読みください。
縄文石棒出土と重なるミシャグジ信仰圏
フィールドワーカーの今井野菊さんが述べていることで、私自身も感じるところですが、ミジャグジ信仰圏は縄文石棒が出土するエリアと重なっています。
★以下(p−−)は「古代諏訪とミシャグジ祭政体の研究[人間社文庫]」のページ数
「ミシャグジの御神体は石棒であったり何もなかったり(p291)…文明開化の明治時代、石棒を祀ることを恥ずかしがったり隠したりしたのじゃないかしら。田舎へゆくほど平気ですがね(p297 )…(天白の御神体は)石棒、石剣。お使いは天狗さまです(p303」
天狗(あるいはサルタヒコ)の鼻が長い理由はこれですね😀
(現地でミシャグジのことを聞くと)「オシャモサマ」「オシャグ」「シャグ」「シャゴッチャン」…(呼び方は)二百種以上(p289)
ミシャグジは、現代では「御社宮司」が当てられていますが、本来は、石神(シャグジ=石棒、陽石)からの転訛(てんか)であると考えています(御石神)