ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

【上之郷の石神さん】しめ縄の掛けられた磐座が六体だけの素朴な御神域

はじめに

志摩一ノ宮 #伊雑宮 の近く #上之郷の石神 さん。鳥居を超えた御神域には注連縄が掛けられた #磐座 が六体。伊勢神宮体制が確立される以前、弥生時代からの信仰地であったようです

目次

本文

上之郷の石神さん

鳥羽志摩の民俗(岩田準一)より

(34.3825947, 136.8089649)/三重県志摩市磯部町上之郷464/伊雑宮から北に数百メートル。伊雑宮までは、近鉄上之郷駅より徒歩3分

上之郷の石神さん

伊勢神宮の正宮(内宮・外宮)に次ぐお宮を別宮といいますが、別宮のひとつ、伊雑宮(いざわのみや、いぞうぐう)から北に数百メートルのところに鎮座。

伊雑宮 入口 上之郷の観光案内板

上之郷の石神さん 参拝

素朴な神明鳥居の向こうの御神域には、社殿もなく、しめ縄が掛けられた磐座(石神さん)が六体、他にいくつか地面から顔を出した大石があるのみ。

案内板は伊雑宮入り口の案内板に写真が紹介されているだけですが、

竹林に囲まれた境内はよく管理されていて、今でも古い信仰が残された聖域であることがわかります。

上之郷の石神さん

伊勢志摩地域には、夫婦岩も含めて、古来より石神(磐座)を祀るところが多くあり、志摩半島では、ここ上之郷と相差(おうさつ)の石神さんが、よく知られています。

これに横山の石神さんを加えて、鳥居横の石碑に書かれた「志摩の三大石神」とされているようです。

上之郷の石神さん

上之郷の石神さんに関しては、手元の資料や、ネットで調べても、詳しい情報がなく、御祭神や由緒など、今のところよくわかりません。

上之郷の石神さん

ただ、鳥羽志摩一帯の中心的な志摩一ノ宮の伊雑宮の至近にあることから、

現在の『伊勢神宮体制』というべきものが確立される以前*1

伊雑(磯部)の地を拠点とした、出雲系の人々が祭祀した磐座(いわくら)であるように思います。

上之郷の石神さん

磐座といえば弥生時代の出雲ですし、志摩半島には出雲地方と共通する地名が多く残されていることから、そのように考えています(この点についてはいずれ)

もうひとつ 上之郷 という地名。近くの下之郷とセットの地名と考えてよく、

私が知る限り、このような地名は、長野県上田市下之郷生島足島神社奈良県桜井市笠の 笠山荒神 近くに上之郷という地名があり、いずれも弥生時代に発する古社域であることが共通しています。

特に桜井市の方は、アマテラスを祀る聖地を求めて 元伊勢の旅をした倭姫(やまとひめ)伝承地であることが共通しています

(冒頭の案内板、上之郷の石神さんの隣に、倭姫伝承地が写真で紹介されています)

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上之郷の石神さん

*1:伊勢神宮体制が確立されるとともに伊雑宮はいわゆる格下の別宮とされたようです