ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

鳥羽志摩地方のダンダラボシ伝説【波切のわらじ祭】

はじめに

鳥羽志摩の #ダンダラボシ伝説。波切(なきり)漁港の #だんだらぼっち公園 に足跡が残るという大石。#波切神社 には御祭神の一柱 #韋夜神 が大男を追い払った伝説。現在も行われる #わらじ祭

目次

本文

鳥羽志摩 沿岸部の大男 ダンタラボシ伝説

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先日紹介した「鳥羽志摩の民俗(岩田準一著)」には、志摩半島の沿岸部を中心に大男・ダンダラボシの伝承が複数、紹介されています。

志摩半島沿岸部に残るダンダラボシとの伝承(鳥羽志摩の民俗より)

波切のダンダラボシとわらじ祭

大王崎灯台のある波切(なきり)のダンダラボシ伝説と草鞋(わらじ)祭はよく知られています。

大王崎(だいおうざき) という地名は、大男伝説に由来すると云われています。

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波切漁港のそばの、だんたらぼっち公園には、ダンダラボシの足跡 と云われる大石。

だんだらぼっち公園

ダンダラ法師の物語 わらじ祭のおこり 案内板

その昔、秋の頃、大王崎の東北(鬼門)の大王島に八大龍王に追われたダンダラ法師という大男がおり、波切の浜にやって来ては神通力で雲を呼び、嵐を起こして暴れていました。砂浜は怒涛に見舞われ、そして変えるときには必ず里の美しい娘を順番にさらって行くため、里人の心は日ごとに暗くなってきました。ある日、そのダンダラ法師が野名の海岸に立ち、ふと足元を見ると、谷間に一軒のとま屋があり、中で一人の美しい娘が一生懸命ワラムシロを編んでいました。実はこの娘、産土神(うぶすなのかみ)韋夜権現 の化身であったのです。ダンダラ法師はこのことを知らずに、娘に向かって「お前の作っているのは何か?」と聞きました。すると娘は静かな面持ちで「これは千人力の村主が履くワラジです。」と答えました。ダンダラ法師は驚きました。こんな大きな男がいる里へは侵入できないと方角を変えて、大里のイソ浜の島に飛び移りました。(この島には畳一畳丈の足跡型野クボミが残っており、ダンダラ島と名付けられました。)つぎに里を見ると、浜州の網納屋の前で数人の漁師達がイワシ網のつくろいに精を出していました。その向こうには大きなボテカゴが置いてありました。この漁師達も産土の化身と知らないダンダラ法師は、同じようにその漁師達に向かって「それは何に使うのだ?」と訪ねました。年寄りの一人がおだやかな笑顔で網を指差し、「これは村主のふんどしじゃ。」と言うと、ダンダラ法師は急に身を震わせながらボテカゴに目をやり、今度は「あれは何だ?」と聞きました。里人はここぞと力を入れて「あれこそ千人力の使うめし箱じゃ。」と答えました。聞くやいなやダンダラ法師は肝をつぶし、一目散に逃げ帰ってしまったと言うことです。それからは海はなぎ、秋晴れの日が続き、浜は大漁で賑わったということです。それ以来、波切では 毎年九月申の日に大わらじを海に流して 大漁を祈っています。

ダンダラボシの足跡と云われる大石(だんだらぼっち公園)

波切漁港そばの土産物販売店に飾られた大わらじ

大わらじに向かい、お経のようなご詠歌のようなエレワカをとなえる、七人のお婆さん。

波切漁港そばの土産物販売店に飾られたわらじ祭の写真とダンダラボシの絵

波切神社の御祭神の一柱に、韋夜神(いやのかみ、ゆやのかみ)が見えます。

波切神社 御祭神

波切神社のダンダラボシの案内板

船越 一つ目の魔物

鳥羽志摩の民俗より。

昔、沖の方から 一つ目の魔物 が船越村に向かってやって来た事がある。折柄、村の浜には鰹船の餌網(えあみ)が干してあったが、餌網の形は、ふごみ(股引)に似ている。魔物は真先にこれを見つけて「船越村には、こんなおおきなふごみをはく巨人がいるのか。それでは俺はとてもかなわん。」と言うて、とうとう陸へ上がらずに、何処ともなく失せてしまったそうだ。

和具 ダンダラボーシ

鳥羽志摩の民俗より。

ダンダラボシという大坊主が、海の彼方から、荷負棒に土を前後に盛りながら渡って来たが、余り荷が重いせいか、うっかり転び、その時、土が海中に落ちてできたのが、和具の大島と小島であるという。また、陸地に上がった際、右足の踏み跡が、通称「五郎兵衛屋」の田の北側にある小池だという。左の足跡で出来たのが、「甚六屋」の畑地にあった地だという。このダンダラボシの糞が、和具港の近くにある岩礁だといい、これをクソと呼んでいる。

畔蛸(あだこ)ダンダーホーシ

(鳥羽志摩の民俗より)

畔蛸村と相差村の坂にダンダボーシと名づくる所がある。昔ダンダボーシという者が、波切大王岬から相差村へ行く高みをかけて跨いだというので、この地名があるそうた。

だんだらぼっち公園の河津桜