江戸期に始まり盛んになった #津軽三十三観音霊場 めぐり、第二十五番札所 #梵珠山 #松倉神社 に参拝。山道の参道には三十三体の観音さまが並んでいました。山奥のたいへん古いお社の創建は飛鳥~奈良時代と伝えますが、それよりも古い磐座信仰の聖地であった可能性もあります
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【前回記事/梵珠北斗星】
松倉神社(松倉観音堂、梵珠山神社)
行き方がややこしい(神社までの約4キロ(①~③)はナビに表示されない道)ので、グーグルマップも見ながら行くのがよいでしょう。
(青森県五所川原市前田野目)/①御朱印所(40.77025933899663, 140.55196134773766)~約4キロ~②途中600M手前の分岐(看板あり)~③入口鳥居(40.80269817669003, 140.56161718781732)/駐車スペースあり
まずは、国道101号線を外れて前田野目野脇の集落に降りてゆき、松倉神社の石碑が立っている道を北に、トンネルをくぐります(トンネルの上を国道101号線が通っています)
北に進んでしばらく行くと『(左に)淡島神社(アワシマサマ)』の看板が立った分岐に来ますが、右の方に進むと、①の御朱印所に着きます。
松倉神社は、御朱印所からさらに4キロ北の山奥に鎮座していますので、津軽三十三観音霊場(第二十五番)のお札が必要な人は御朱印所で入手できます。
③の参道入り口の鳥居までやって来ました。
ここから山道を20分ほど登るため、クマが心配でしたので、真昼の日が高い時間帯を選び、鈴を鳴らして参道の山道に入ります。
行者の杖と鈴は熊よけ🐻でもあったんでしょうか。
松倉神社誌(山道の参道の三十三観音)
御朱印所で『松倉神社誌』をいただきましたので、文字起こししておきました。西暦年や一部内容について開物が加筆しています。
奥州津軽の梵珠松倉は、太古より深山幽谷の地にして、樹木欝蒼として清冽なる瀑布の音(梵珠大滝)、樹々にこだまし、鳥獣の鳴き声は渓谷に響き渡り、神仙が住まうような聖地です。苔むした松の生える磐座に仏神が鎮座し、役小角の高弟・法明坊が観音寺を建立したと伝えられるものの年代は定かではありません。
参道の山道には、ところどころに道しるべの観音さま(三十三体)が並んでいました。
桓武天皇の時代、王城(平安京)の鬼門(東北)であることから、大同二年(807、平安期)、坂上田村麻呂将軍は、奥州三百社、津軽百八社を造営したといいます。将軍は松倉の岩の上に十一面観音を祀り、松倉神社を再建しました。以来、梵珠峰は、北の比叡山として、津軽三千坊の基礎となりました。
磐座に妙徳太神(みょうとくおおかみ)、善救大神(ぜんぐおおかみ)、大天霊神(だいてんれいしん)を祀って正中山*1中山大権現と称しました。この地は太古からの磐座信仰、神道、仏教、修験道、陰陽道などがさまざまに混じています。
時は下って(1208、鎌倉期)、奥州藤原氏(滅亡後、源頼朝の追っ手から逃れた平泉の)吉次・吉内の兄弟が(石垣金光上人を招いて)松倉観音堂を再興しました。
聖地である梵珠峰は、安倍・安東・北畠氏の庇護のもと、僧堂や伽藍が立ち並ぶほどとなり、梵珠千坊・高野千坊として繁栄しましたが、戦国乱世の時代に灰燼に帰しました。
ふぅ~…ようやくラストの三十三番に着きました。
松倉神社
時は流れ文禄年間(1590年代、江戸期)に松倉飛龍宮として再興され、津軽三所権現の中山権現として崇敬され、津軽藩主三代・信義公の時代に、津軽三十三観音を定めた際に霊場となりました。松倉の観音は津軽最古の観音で、最大の難所であるゆえに御利益が絶大とされました。
津軽の三所権現については先日紹介した『津軽の大蛇』をご覧ください。
宝暦年間(1750年代)には参詣人であふれ、小高野という茶屋も出現するほど。当時、本尊は十一面観音、祭神は薬師如来、大山祇神(おおやまづみのかみ)、馬頭観音でした。
明治の神仏分離・廃仏毀釈により、権現の名は廃止され、仏像は除かれ、松倉神社は天照大神を祭神として闇龗(くらおかみ)神社と改称されましたが、明治六年に前田野目熊野宮を合祀し、松倉神社として郷社となりました。氏子は前田野目村・野里村両村となり、前田野目村は旧熊野宮を遙拝所とし、野里村は旧稲荷宮を遙拝所としました。
津軽平野から見ると、梵珠山は日の出の東の方向にあたります。
中近世の本地垂迹(ほんぢすいじゃく)では十一面観音や薬師如来(西の阿弥陀如来に対して、東に祀られる)は、天照大神と同一視されることが多いです。
山の向こうから日が登る時、こちらの山端は「朝日影」で暗いため、天照大神は闇龗(くらおかみ)とされるようです。
御本殿の裏には、岩塊(磐座)の上に三祠が並んだ奥宮に続く道があります(続きます)
現在は松倉神社(旧松倉観音堂)として津軽三十三観音霊場・二十五番札所となり、津軽一円はもとより、遠方からの参拝客で賑わっています。御詠歌:あな尊と、導き給え、観世音、誓いをここに、松倉の宮