新天皇の即位と大嘗祭で #中臣氏 が奏上した #中臣寿詞(なかとみのよごと)。記紀にもないもうひとつの #天孫降臨 譚。#天の二上(高天原)の皇親からもたらされた #天の水 の物語には #古代史の暗号 が散りばめられています
目次
本文
中臣氏が唱える天孫降臨(てんそんこうりん)
中臣寿詞(なかとみのよごと)とは、古代、新天皇の即位式と即位後初の大嘗祭(だいじようさい、おおなめのまつり)で、中臣氏が奏上した称えことばで「天神寿詞(あまつかみのよごと/あまのかみのよごと)」ともいいます。
平安時代、近衛天皇の大嘗祭に記録されているのが最古ですが、藤原京の持統期、あるいは、それ以前から、その内容は変わっていないものと考えられています。
その内容は 中臣氏が唱える天孫降臨 であり、記紀にはなく、しかし新天皇に傾聴いただく物語には、一定の史実性が含まれていると考える専門家もいます。
中臣寿詞(なかとみのよごと*1)
現(あま)つ御神(みかみ)と大八嶋國(おおやしまぐに)知ろし食(め)す 大倭根子天皇(おおやまとすめらみこと)が御前(みまえ)に 天つ神(あまつかみ)の壽詞(よごと)を称辞定(たたえごとさだ)め奉(まつ)らくと申す
(以下、大意。)新天皇の御前にて天つ神の讃え言葉を奉ります。
高天原に神留(かむづ)り坐(ま)す 皇親(すめむつ)神漏岐(かむろき)・神漏美(かむろみ)の命を持ちて 八百万の神等(かみたち)を 神集(かみつどえ)へ賜ひて 『皇御孫(すめみま)の尊は 高天原に事始めて 豊葦原の瑞穂の國を安國(やすくに)と平らけく知ろし食(め)して 天つ日嗣(ひつぎ)の天つ高御座(たかみくら)に御坐(おほま)しまして 天つ御膳(みけ)の長御膳(ながみけ)の遠御膳(とおみけ)と 千秋(ちあき)の五百秋(いほあき)に 瑞穂を平らけく安らけく 斎庭(ゆにわ)に知ろし食せ』と 事依(ことよ)さし奉りて
高天原に鎮座されます皇親(男女二柱)は『皇御孫の尊(すめみまのみこと、新天皇)は、豊葦原の瑞穂の国(日本)の高御座にお座りになって瑞穂をいただき(皇威を)しろしめなさい』と申されております。
天降り坐(ま)しし後に 中臣の遠つ祖(おや)天児屋根命 皇御孫の尊の御前(みまえ)に仕へ奉りて 天忍雲根神 天の浮雲に乗りて 天の二上(ふたかみ)に上(のぼ)せまつりて 神漏岐・神漏美命の前(みまえ)に受け給はり申しに 『皇御孫(すめみま)の尊の御膳(みけ)つ水は うつし國の水に 天つ水を加へて奉(まつ)らむと申せ』と 事教(ことのり)たまひしに依(よ)りて
中臣の祖・天児屋根命は「(我が子の)天忍雲根神が天の浮雲で 天の二上(ふたかみ)に昇り、二柱の皇親より『高天原の水を、現世の国(うつしくに)の水に混ぜてお使いなさい』と教えられてまいりました。
天忍雲根神 天の浮雲に乗りて 天の二上に上り坐して 神漏岐・神漏美命の前に申せば 天の玉櫛を事依さし奉(まつ)りて 『此の玉櫛を刺立て 夕日より朝日の照るに至るまで 天つ詔と(あまつのりと)の太詔と(ふとのりと)言(ごと)を以(も)ちて告(の)れ かく告らば 麻知(まち)は弱蒜(わかひる)にゆつ五百篁(いおたかむら)生(お)ひ出でむ 其の下より天の八井(やゐ)出(い)でむ こを持ちて天つ水と聞し食せ』と 事依(ことよ)さし奉りき
天忍雲根神は浮雲に乗って二上に昇り、『皇親二柱より賜った玉櫛を立てて朝な夕なに祝詞を上げれば、クニには新芽が次々と生え、その下からたくさんの水が湧き出します。その水を天の水として使い、しろしめしなさい』と告げられてまいりました。
大意 ですので、意訳の細かなところは大目に見ていただくとして😅…
先日紹介した「春日元宮」枚岡神社(御祭神:天児屋根命、あめのこやねのみこと)と境内の若宮神社(同:天忍雲根神、あめのおしくもねのみこと)に、中臣寿詞(なかとみのよごと)の天孫降臨の物語が表現されていることに気がつきました。
出雲文化において、聖なる水が湧くところの 真名井(まない)ですが、当社では出雲井(いずもい、いずもゆ)と呼ばれています。
(キリスト教では聖なる水の湧くところをルルドの泉と言います。洋の東西を問わず信仰と水の祭祀は深く繋がっています)
若宮神社の御祭神・天忍雲根命は、天の二上に昇って、天の水を現世の国(うつし国)にもたらしてくれます。
水をもたらしてくれる皇親二柱には『神漏、かむろ』の名が付けられていますね。
天の二上(あめのふたかみ)
さて、枚岡神社の元宮は、現在の鎮座地から生駒山系を昇って行ったところ 神津嶽(こうずだけ)に鎮座しています。
(それぞれの座標値をグーグルマップに入力して地図検索できます)
神津嶽本宮:34.6679384,135.6571600(北緯34度40分04秒)
生駒の大鳥・中央の天照山:34.6679384,135.6707430(北緯はピッタリ同じ)
これまで個人的に「大鳥」と名付けていた景観(生駒、葛城、上賀茂、春日、二上山の鴨、飛鳥など)を「天の二上、あめのふたかみ」と考えると…
中臣寿詞の「暗号」と考える言霊(ことだま)は太字にしておきました。
いろいろ、古代史の謎が解けそうな気がしているこの頃です。
アラバハキ解も書き直し(第二稿)が要るかなぁ。