ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

アラハバキの見つけ方(蟹守と倭文の暗号を参考に)

日本の古代信仰 #アラハバキ。#男女一対 #古神道 のカタチであると考えられますが、現在ではほぼ失われています。しかし丹念に探せば、埋もれた古い信仰のこん跡を見つけることができるかも知れません

目次

本文

全国にひろがる?倭文(しとり)と蟹守(かにもり)

【前回】

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葛木倭文坐天羽雷命神社(かつらき・しとりにいます・あめのはいかづちみことじんじゃ、奈良県葛城市加守、加守神社)の御由緒を読んでいると、古い時代に、アラの倭文(しとり)と、ハバキの蟹守(かにもり)の信仰がセットになって全国に広がっていたことがうかがえます。

倭文(しとり、しどり)【ご由緒は加筆して一部再掲】

倭文は伊勢(鈴鹿市の加佐登神社に合祀)、駿河(静岡県富士宮市)、伊豆(静岡県伊豆市)、甲斐(山梨県韮崎市)、近江(近江国滋賀郡に式内社があった)、上野(群馬県伊勢崎市)、丹後(京都府宮津市)、但馬(兵庫県朝来市)、因幡、伯耆などの国々に祀られているが、その根本の神と言われて来た。倭文は文布(ぶんぷ、あやぬの)で、子孫も倭文氏とし、諸国に機織と裁縫の術を伝えた。

伯耆国一ノ宮の倭文神社(鳥取市倭文)は有名なほか、東伯郡湯梨浜町にも倭文神社。いずれも御祭神は建葉槌命(たけはつちのみこと、出雲伝承ではアメノワカヒコ)です。

蟹守(かにもり)、加守(かもり)、掃守(かもり)など

蟹守は加守のほか掃守の名で、助産と祓いの氏族として機織(倭文)とともに全国に散在している。

こちらは各地の倭文神社の周辺を探せば出てくる可能性はありますね。

ただ、大阪の産湯稲荷神社(字掃守屋敷と呼ばれていた比賣許曽神社跡)のように名前や御祭神が変遷してしまったケースも多く、神社仏閣や地域伝承を丹念に調べて行く必要があります。

蟹牡丹の紋(加守神社・葛木倭文坐天羽雷命神社)

蟹守に関しては、地名や 蟹牡丹 の紋が手掛かりになるかも知れません

蟹牡丹は、蟹と牡丹の花を合体させた風変わりな紋ですが、魔除けと子孫繁栄の意味があるらしく、私自身、お寺で何度か見たことがあります。

鷹司家、近衛家といった有力公家の家紋でもあり、その謂れを遡って行けば、また新しい歴史が浮かび上がってくるかも知れません。

江戸期に始まったとされる佐賀の鍋島緞通(なべしまだんつう、織物)の定番が中央に蟹牡丹、周囲に雷文をあしらったデザインで、

蟹牡丹を下照姫、雷文をアメノワカヒコ(天羽雷命)に見立てて、アラハバキデザインと考えてみるのもどうでしょうか。

機会があれば鍋島デザインの成り立ちを調べてみたいと思います。

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リサーチする観点があれば、目に入るものの中にふと、アラハバキを発見できるかも知れません。

お岩木山を遥拝する岩木山神社

津軽の【北門鎮護】岩木山神社では思わぬ発見をしました。

おそらく江戸〜明治期に手を加えられたものと思いますが、御本殿前の狛犬の基壇に描かれた魔除けと子孫繁栄をあらわす牡丹の花(全国的に見られるデザイン)が、明らかに蟹守(花牡丹)と倭文(織物、赤ちゃんのおくるみ)に変えられていました。

岩木山神社。御本殿前の狛犬の基壇が蟹守(花牡丹)と倭文(赤ちゃんのおくるみ)に変えられていた

社務所に経緯を聞いてもまったくわからず、その意図は今となっては謎ですが、

岩木山神社には顕国魂神(うつくしくにのたまのかみ、オオクニヌシ)と多都比姫神(タキツヒメ、宗像三女神の一柱)が夫婦で祀られており、二人を護る形で蟹守と倭文の若夫婦が狛犬となって座っている図式を誰かが意図した可能性が高いです。

いずれにしてもこれらの事実が古くから津軽には出雲の信仰が根付いていたことを暗示しています。

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なお津軽・十三湖の北部、相内神明宮はアラハバキ神社ともいわれますが、鳥居の傘木は雌雄二匹のヘビをあわらし、参道の樹には藁蛇が架けられています。

相内神明宮(アラハバキ神社)出雲文化で重視される竜蛇をあらわす鳥居の笠木と藁蛇

出雲地方では樹木を男性的な「アラ」、それにからまるヘビ(竜蛇)を女性的な「ハバキ」とする古い信仰もあり、古い時代の津軽と出雲の交流をうかがえる景色となっています。

今回(シリーズ)は下照姫とアメノワカヒコ夫婦の蟹守と倭文を「アラハバキ」のシンボルとして紹介していますが、その他にも多様な様式があることを付け加えておきます。

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地名に残る倭文と掃守(南あわじ市)

今のところ一例だけですが、倭文と掃守の地名が隣接しているところを南あわじ市で見つけています。(まだ行ったことがありませんが)

兵庫県南あわじ市の倭文委文(しとおりいぶん)と榎列掃守(えなみかもり)

淡路島はおのころ島ともいい、イザナギとイザナミによって最初に生まれた国土として神話化されていますが、そのことと何か関係があるのかも知れませんね。

ご覧の皆さんで興味がある方がいらっしゃれば、ここで書いたケースを参考に、全国に埋もれた「アラとハバキ」を探してみませんか。

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