三〜四月、立て続けに #大神神社(大和國一の宮、桜井市)に参拝。見慣れた景色の中で、ふと、狛犬さんが居ないことに気付く。なんでだろ?と考えいて頭に浮かんだのが #三輪 と #上賀茂 を繋ぐ #おだまきの糸 と #赤い矢 の伝承
目次
本文
大神神社(大和國一の宮、奈良県桜井市)

三月下旬はハクモクレン、四月上旬はサクラ、ゴールデンウイークはギンリョウソウ、と立て続けに参拝した大神神社(おおみわじんじゃ)。
三輪山を遥拝する原初的な古神道のお社です。

先日の考察(古代妄想)でも紹介したとおり、媛蹈鞴五十鈴媛命(ひめたたらいすずひめ、初代・神武天皇の皇后)が日と水が出づる三輪山の麓に出雲屋敷(姫御所)を置いたのが由来と考えられます。
あらためて気がついたのが、大神神社の鳥居や参道には狛犬さんがいません。
念のため探しましたが、どこにも居ませんでした。
狛犬さんの正体
古社でいうと、京都の上賀茂・下鴨にも居ませんが、御本殿(御神域)にはキラキラ輝くミニ狛犬さんが置かれています。
狛犬さんはお寺の仁王さんと同じく、ア・ウン(阿吽)つまり、男女一対で神域を守る神格というところでしょうか。
「ウン」の狛犬の頭頂に一本ツノが生えているところから、「ア」は女形、「ウン」は男形。
(新しい狛犬さんにはツノがないものがたくさんあります。時代の変化ですね。)
狛犬さんが神社のスタンダードになったのは古墳時代の後半以降、神社の鳥居にも置かれるようになったのは、神社の様式化が進んだ平安時代、いやもっと後かも知れませんね。
歴史の長い大神神社に、狛犬さんは置かれて来なかったようです。

参道の浮橋を越えたところ、手水舎の手前に祀られている「夫婦岩」が狛犬さん的というか…いや、狛犬さんの原型というべきなのかも知れませんね。

名前の通り、男女一体をあらわす二つの磐座(いわくら)です。
二つの岩が寄り添っている形から夫婦岩と呼ばれています。古くは神様が鎮まる磐座で、中世の古図絵に「聖天石」として描かれており、夫婦和合・安産に霊験のある聖天*1になぞらえていたこともありました。この夫婦岩は大物主大神(御祭神)と活玉依姫の恋の物語である三輪山説話(おだまきの糸)を伝える古跡とされ、縁結び、恋愛成就、夫婦円満の霊験あらたかな磐座として信仰されています。
「赤い矢」の伝承が繋ぐ三輪(奈良)と上賀茂(京都)
先ほど紹介した京都の下鴨・上賀茂の鳥居・参道にも狛犬さんは居ません。
上賀茂神社には、二の鳥居をくぐった御神域の始まりのところに有名な立砂が二つ並んでいます。
立砂は、とぐろを巻いた蛇の表象ですが、こちらも三輪と同じく夫婦(めおと)を表しています。
三輪のおだまきの糸の主役のお二人は、上賀茂の赤い矢の伝説と同じと考えられます(開物の考察)
二つの伝承を繋ぐキーワードは鴨(賀茂、加茂。神かもぅ)です。
*1:インドのガネーシャ神が原型。インドでは学問の神様であるが、日本では子孫繁栄の聖天(しょうてん)として信仰される。男女の象神が絡み合う態様から一般的には秘仏とされている。