まとめ
奈良の飛鳥の蘇(そ)。牛乳から作る古代食で、名物・飛鳥鍋にも使われます。無調整の全乳を鍋でキャラメル色になるまで煮詰め、型にはめて冷やして出来上がり。これはたぶん酪酥(らくそ)。熟酥(じゅくそ)はヨーグルト?。最高級の醍醐(だいご)の作り方は現代では不明。「醍醐味を味わう」の語源になりました
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古代食『蘇』
奈良に蘇(そ)という古代食があるのをご存知でしょうか。
ときどき、明日香の土産物屋さんで売っているのをみかけます。
安閑大王(継体大王の息子)が「難波の大隅島と姫島松原」に牛を放牧させたという日本書記の話(昨日紹介)に関係しているのでしょう。牛乳から作ります。
(大般涅槃経は他のお経に比べて最高級、醍醐クラスのお経ですよというたとえとして、レシピが唱えられるそうです。Wiki)
『酥=蘇』は、牛乳に含まれる脂肪分のことと思われます。
牛乳は乳清(透明の液体、水)に小さな脂肪(油)の粒々が浮かんだ(乳化した)状態で、脂肪分だけを取り出そうとすると、
ぐるぐるまわす(遠心分離する)か、煮詰めるか、自然に水分を飛ばすかで、
古代の蘇は、土器の壺で熟成 しながら、脂肪分を高めて作ったと推定されます(加熱したかどうかはわかりません)
蘇には「酪酥(らくそ)」と「熟酥(じゅくそ)」の2段階があり「熟酥」は字の通り、ヨーグルトだった感じです。
酒蔵とおんなじで、壺に居着いた乳酸菌や酵母がポイントになったんでしょうね。
ちなみに「熟酥」はサンスクリット語でサルピス(sarpis)のことで、カルピスの名の由来になりました。
自宅で作れます
以前、自宅で『蘇』を作ったことがあります(酪酥、らくそ)
無調整全乳を弱火で煮詰めて、キャラメル色に固まり始めたころに、型にはめて冷蔵庫に入れておくと、写真のような感じになります(写真はACから借り物)
作り方はクックパッドにも紹介されていますので、興味のある方は検索してみてください。
醍醐味はチーズ味?
蘇は『古代のチーズ』とも言われますが、少しチーズ味かな、という感じで、むしろ、飛鳥鍋(あすかなべ)などにダシ(隠し味)として使うと、コクが出ておいしいです。
『だいご味を味わう』という言い回しの語源が醍醐(だいご)ですが、発酵食品的な濃いチーズ味だったのでしょうか。
残念ながら、古代の醍醐の作り方は、ロストテクノロジーで、現在では不明です。
ところで古代の大王も、風呂上がりに腰に手を当て、牛乳をゴクゴクやってたんでしょうか。(´▽`)
乳母が皇子や皇女を育てる母乳がわりや離乳食としても使ってたんでしょうね。
カルピスバター
今日の記事を考えていて、たまたまスーパーでカルピスバターを見かけたので久しぶりに購入。
お高いですが、昔は(今でも)希少品で高級レストランのシェフぐらいしか手に入らない『幻のバター』と言われていました。