ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

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【北大植物園】アイヌ・北方民族の知恵『衣・食・住・薬・呪・狩・雑』草木の利用【北海道大学探訪(3)】

はじめに

北海道大学の植物園は道庁西隣の都心部にあります。明治期の開設以来、石狩川低地帯の原景をよく残しています。#北方民族植物標本園 で #アイヌ民族 などが厳しい自然の中、生きるために利用してきた多数の草木が栽培展示されています

目次

本文

北大植物園

北大植物園(北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター植物園)はクラーク博士の進言で用地が準備され、明治17年(1884)に植物学の大家、初代館長の宮部金吾博士によって設計されました。

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北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター植物園

大学本校キャンパス(南側)から徒歩10分。いったん校外に出て、函館本線が通過する高架をくぐった広大なエリアで、北海道庁のちょうど西側にあたります。

都心のど真ん中に、これほどの自然が残されていて、しかも自由に出入りできるのには驚かされます(入園料が必要です)

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北方生物圏フィールド科学センター植物園 案内

明治期の開園当時から手つかずのハルニレの林は、開発で失われた札幌周辺・石狩低地帯の広葉樹林の植生をよく残しているとのこと。

ハルニレ(英名、エルム)は、樹皮や内皮から繊維がとれ、アイヌ民族は、くつ下や袋物のほか、繊維をござ模様に織り込んで枝をこすり合わせて発火や火種にしたり、たき火に利用しました。また、若枝をかみ砕いて化膿の吸い出しに使ったり、内皮をシャンプーとして用いたりしました。(標本園の解説パネルより)

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北方生物圏フィールド科学センター植物園 ハルニレの林

北方民族植物標本園

北方民族植物標本園では、アイヌ民族樺太、千島、北海道各地の部族)、ニブヒ(ギリヤーク)民族、ウィルタ(オロッコ民族)の利用した植物標本を栽培展示しています。

衣用(染色含む)、食用、住用(用材・器具材・生活用品)、薬用、祭祀用、狩猟用、その他に分けて用途別に標識展示されているので、わかりやすく、たいへん面白かったです。

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北方民族植物園標本園

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北方民族植物園標本園 種類と解説

呪に使用された草木

ごく一部ですが、紹介します(解説が写っているものは写真をご覧ください。Noは種類と解説の番号。)

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トクサ(No2。住)

イチイ)神社の神主さんの持つ笏(しゃく)はイチイから作られます。古代、正一位を贈られたことからイチイの名になりました。北海道ではオンコと呼ばれます。種子は有毒ですが、仮種皮(かしゅひ、実の部分)は食用になり、特に肺や心臓の弱い人に良いそうです。種子を脚気や利尿剤、内皮の煎汁で下痢止め、葉の黒焼き煎汁は結核に服用。材は硬く器具材や細工物(弓、小刀のさや、酒箸、小器具)に用いられます。

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イチイ(北海道ではオンコ)赤い実は有毒(No153。衣・食・住・薬・呪・狩)

キハダ)内皮の煎汁で繊維を黄色に染める。甘い果実は食用。樹皮で屋根や壁を葺く。即製の樹皮舟、材で杵や丸木舟。果実は回虫の予防に食べる。内皮の黄色い層で眼病やのど、打ち身ややけどの治療をする。尊い神にささげる幣(イナウ)を作る。内皮の煎汁を入れ墨の化膿防止に塗布。

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キハダ(No167。衣・食・住・薬・呪・雑)

ミズキ)木幣(イナウ)を作る材としてキハダに次いで重要な木。神に特に敬意を表す時には、この木で作る。

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ミズキ(No144。呪)

アイヌのごはん

標本園を見学してから、北大キャンパスに戻り、総合博物館のミュージアムショップで買ったのが『アイヌのごはん』という本。

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アイヌのごはん

本棚の一冊を手に取ってレジに行くと、売り切れで、係の人から「その一冊しかない」と言われたので、大阪から来たのにぃ。。。と分けてもらいました。笑(関西人のゴリ押しではございません。)

で、見本シールがついたままです。

北方民族植物標本園 他の標本植物(一部)

その他の標本植物の一部です。以下、興味がある方はご覧ください。解説はパネルより。

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ゼンマイ(No6。食・雑)

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チシマザサネマガリタケ(No15。食・住・薬・呪・雑)

ススキ)茎葉で屋根や壁をふき、灯火にもする。茎を箸にして使うと雄弁家になるとする

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ススキ(No14。住・呪)

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サルナシ・コクワ(No179。食・住・薬・雑)

ヤチダモ)家の柱や壁、丸木舟や櫂(かい)、高倉や小熊の檻(おり)、サケを捕る簗(やな)などを作り、焚き木にもする。樹皮を焼いた灰で足のマメを治療する。樹皮の浸出液で入れ墨の傷口を洗う。

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ヤチダモ(No146。住・薬・狩・雑)

ニガキ)樹皮の汁を胃病や腫れ物に。衣服を洗ってシラミ除けに用いる。シカ狩りの矢毒に用いる。

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ニガキ(No168。住・狩)

クズ)根を焼いて練り、打撲に塗布する。

※関西でよく見るクズとは葉っぱのカタチが違いますね。食用を含めて用途は広いはずですが、アイヌ民族では薬の用途限定のようです

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クズ(No75。薬)

ゲンノショウコ)大和・大峯山に古くから伝わる名薬・腹下しに服用する陀羅尼助(だらにすけ)にも配合されていますね。

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ゲンノショウコ(No78。薬)

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ハイイヌツゲ(No83。住・狩)

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ガガイモ(No107。食)

エゾイタヤ)カエデ科。早春の樹液を飲用や調味料にし、飴も作る。立ち枯れを発火材にし、材で杵などの器具を作る。皮の煎汁を母乳が出るように祈願して飲む。早春の樹液を酒精(アルコール)飲料の材料にする。

※酒精飲料の材料にする、飴にする、などから甘い味。いわゆるメイプルシロップはアメリカでも先住民の時代から利用されているそうです。ちなみにカナダの国旗のデザインになっているのは、サトウカエデの葉だそうです

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エゾイタヤ(No170。食・住・呪・雑)

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