このはなさくや姫(木花咲耶姫,、木花之佐久夜毘売)
富士山を御神体とする全国の浅間神社(せんげんじんじや)の御祭神であるほどに、息をのむほどに優美、たいへん美しく、そして、偉大な姫さまだった。
姫さまを木花(このはな)というが、木に咲く花とは、桜のほかにないだろう。と思う。
難波津に咲くやこの花 冬ごもり 今は春べと 咲くやこの花
日本に論語と千字文、いわゆる漢語を伝えたとされる百済(くだら)の王仁(わに)博士の作とされる。
この和歌でうたわれている『咲くやこの花』とは、実は梅。
博士が梅花に和歌を添えて仁徳天皇にたまわったという説話より。
この場合の『この花』とは、ここにある花、という意味だろうか?
大陸人の博士には、花と云えば、梅だったのだろう。
梅や橘(たちばな、みかんの木のこと)は古代に大陸から伝来した樹々。桃もそう。
面白いのは、梅(南高梅)もみかん(紀州ミカン)も紀の国・和歌山県の名産品。
そこに古代を妄想する意味があると考え、ゆえに当ブログでは和歌山のことを『木の国』と呼んでいるのは、ついでの話。
梅の木、雫の花(高津宮 梅園)
花の季節も終わり、夜半降り続いたあたたかい雨が、梅の枝に雫の花を咲かせる。
この季節の密かな見所。
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