ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

【デンデラノ・考(1)】ダンノハナに相対する蓮台野【遠野物語第111話】

はじめに

柳田国男 #遠野物語第111話 に姥捨て(棄老)伝承の #デンデラノ が紹介されています。夕暮れ迫る時間で現地でゆっくり考える間がなかったのですが、頭と資料を整理する中であらためて知ったり気づいた点がいくつか。1回目

目次

本文

遠野の姥捨て伝承地、デンデラノに向かう山口川に架かる橋のたもとには、姥捨て(棄老)伝承の絵が描かれています。

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デンデラノに向かう道。山口川に架かる橋

夕暮れ迫る時間帯の訪問で、自分が対象年齢に含まれている(背負われる方)こともあって、人生のはかなさ、物寂しさを感じるばかりです。

ここは、この世で渡る三途の川のようなものでしょうか。恐山で渡った三途の川とはまた雰囲気が違いますね。

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向かう先にデンデラ

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デンデラノへの入口

急な坂を上がる(狭い車道の)途中に、デンデラノの案内板があります。

遠野物語」第111話には、デンデラノについて紹介されている。昔、60歳をこえた人はみんな、このデンデラノへ追いやる習わしがあったという。日中は里へ降り農作をし、夕方になるとここに戻った。里へ降りることを「ハカダチ」、戻ることを「ハカアガリ」という話が残っている。

デンデラノは蓮台野(遠野物語第111話)

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デンデラ

遠野物語青空文庫)】※第111話、第112話が関連する話です

www.aozora.gr.jp

第111話コピペ)山口、飯豊、附馬牛の字荒川東禅寺および火渡(ひわたり)、青笹の字中沢ならびに土淵村の字土淵に、ともにダンノハナという地名あり。その近傍にこれと相対して必ず蓮台野(れんだいの)という地あり。昔は六十を超えたる老人はすべてこの蓮台野へ追い遣るの習(ならい)ありき。老人はいたずらに死んで了(しま)うこともならぬ故に、日中は里へ下り農作して口を糊(ぬら)したり。そのために今も山口土淵辺にては朝(あした)に野らに出づるをハカダチといい、夕方野らより帰ることをハカアガリというといえり

第111話は『ダンノハナ』の説明から入ります。ダンノハナというところは遠野には六か所あり、その近くに 相対して 蓮台野(れんだいの)というところがあり、そこに老人を追いやる、と書かれていますから、デンデラノは蓮台野のことを指します。

ダンノハナ

では、ダンノハナとはどこでしょうか?(私が見つけられなかったのかも知れませんが)現地にはダンノハナの案内板がなく、詳しくわからなかったのですが、先日紹介した山口集落の奥に総合案内板に「ダンノハナ」が書かれていました。

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山口集落の案内板 ダンノハナ

これをもとに、北の方角を合わせてグーグルマップに書きこんでみました。

なるほど、遠野物語に紹介されているとおり、デンデラノ(蓮台野)は、山口集落の道を挟んでダンノハナに相対します(当ブログで紹介したところは日付を入れています)

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遠野物語第111話のとおり、ダンノハナに相対するデンデラ

第111話補遺コピペ)ダンノハナは壇の塙(はなわ*1なるべし。すなわち丘の上にて塚を築きたる場所ならん。境の神 を祭るための塚なりと信ず。蓮台野もこの類なるべきこと『石神問答』中にいえり

ダンノハナは10月26日記事で紹介した、薬師堂の鳥居をくぐってすぐ(北側)に小祠があるのですが、その向こう側ということになります。

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薬師堂鳥居のそばの小祠(向こうがダンノハナの一角)

www.zero-position.com

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遠野に行ってから、はや一ヶ月になるのですが、頭と資料を整理する中で、デンデラノとダンノハナについて、この他にいくつか気がついたこと、資料などを読んでいてあらためて知ったことがあります。次回に続きます

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*1:山が突き出た箇所・小高い所