ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

【高山神社】下流域の母神、聖水信仰の根源【りょうさん池】

はじめに

一年ぶりに名著 #原始三輪山 を参考に #隠国(こもりく)探訪を再開。巻向山の北、大和高原からの伏流水が山体の割れ目にあらわれた高山湧水地群の中でも最大の #りょうさん池。日本書紀 天武期にあらわれる #迹驚淵(とどろきのふち)と考えられています。#高山神社

目次

本文

隠国(こもりく)

万葉集では、隠国(こもりく)は初瀬(はつせ、大和川、特に源流域)にかかる枕詞(まくらことば)。

いにしえを伝える言霊(ことだま)です。

奈良盆地(平野部) くんなか(国中) に対応する さんちゅう が、こもりく であろうと考えています(さんちゅうは、原始三輪山(もとみわやま)著者(桜井市出雲の歴史研究家)榮長増文氏が使う地元の言葉)

(さんちゅうは「山中」でしょうか。あるいは、かつて高貴な人々が住まいした「傘中(笠中)」であるかも知れません。)

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地図の通り、三輪山に連なる巻向山、初瀬山一帯が初瀬川の源流域(地図より西の長谷寺のある渓谷を初瀬川は下ります)で、その水系が、桜井市笠(笠山荒神社)を西端とした大和高原から流れ下ります。

一帯の山中と初瀬川流域には、縄文時代弥生時代からの高地性集落、信仰祭祀のこん跡(ダンノダイラなど)が残されています。

高山神社(りょうさん池 )は巻向山の北、桜井市笠(笠山荒神社)の南の山中

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高山神社(こうさんじんじゃ、高龗神社)

(34.5486398292052, 135.88655698968563)/奈良県桜井市白河(しらが)760/徒歩または車で。途中の山道は落石や落枝が多く車で参拝する場合は慎重に!

御祭神:善女龍王龍王(雨乞い祈祷、原始三輪山に記載)

高山(こうさん)神社(高龗神社)りょうさん池

巻向山の山麓に鎮座する高山神社(こうさんじんじゃ)は、地元では 高龗神社 とも云われており、榮長氏の原始三輪山では たぎつ姫 という人もいる、また龍神を山人は 三輪のミーさん と呼んでいた、と紹介しています。

御本殿は、東のりょうさん池を向いています。

原初(拝殿がない時代)はりょうさん池が御神体で、後に男女一対で神格化(出雲神、弥生時代)され、神仏習合平安時代以降に善女龍王龍王とされたのではないでしょうか。

高山神社 御本殿

りょうさん池

りょうさん池(高山神社は写真の右(西)側に鎮座)

りょうさん池は、巻向山周辺の高山湧水地群の中でも最大のもので、南北170メートル・東西約30メートル、水深4~5メートル。

北部の大和高原からの伏流水が地下を通って、山体の割れ目にあらわれたもので、その地質構造から一年を通して水位が一定で枯れることがありません。

白河の里に、絶えない水を供給する女陰(ほと)のカタチとされ、母神、聖水信仰の根源とされていました。

日本書紀天武天皇期、壬申年間)に登場する 迹驚淵(とどろきのふち) ではないかと推定されています。

りょうさん池

今は水面に映る緑が美しいですが、まもなく紅葉の季節には、さらに絶景となります。

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