ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

【阿久遺跡②】蓼科山を遥拝する立石・列石から出土した奇妙な土器

はじめに

長野県原村 #阿久遺跡(縄文前期)2回目。ムラ中央の広場に #蓼科山 を遥拝する立石と列石が並ぶ神聖な場が設けられ、奇妙なカタチの縄文土器が出土

目次

本文

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阿久遺跡(長野県諏訪郡原村)

収蔵庫近くの阿久遺跡入口と中央自動車道東側

阿久遺跡西側に向かう中央自動車道の高架下(この地下にも遺跡)

阿久遺跡(西側の案内板)

中央自動車道の西側を遺跡に沿って高い方に歩いてゆくと、緩やかな斜面のくぼ地の縁に立ちます。

案内板のマップからみて、ちょうどこの辺りが阿久遺跡の環状中心付近になります(北向きに撮影)

阿久遺跡西側 環状中心付近

蓼科山を遥拝する環状中心部の立石・列石(縄文前期後半=約6000年前)

前回記事より関連部分抜粋)約六千年前の前期後半になると ムラの中央の広場に長さ120センチ、幅35センチの角柱状の石を建て、それを囲むように石を組んだ立石とそこから直線に並ぶ列石が作られ、この施設をドーナツ状に取り巻くように土壙群と環状集石群が作られてゆきます。直径1〜2メートル、深さ30センチ程の穴に石を積み上げ、そのまとまりが環状に廻る環状集石群の石の総数は10万個以上とも言われています。阿久のムラは居住の場から祭祀の場へと変遷してゆきました。

環状中心には、立石と列石が直線状に並べられ、そのラインは蓼科山を向いていました。

阿久遺跡マップ 環状とその中心(上が北)

蓼科山(たてしなやま、標高2,531m)は、八ヶ岳連峰の北端の火山。ご覧の通りの美しい三笠形。

日本では美しい山は古来より、神宿神奈備(かんなび)の山 として神聖視されてきましたが、その遥拝信仰のスガタが、すでに縄文時代前期の阿久遺跡にあったということが驚きです。

左)阿久遺跡から蓼科山(指差し)、右)白樺湖・池の平神社から蓼科山

阿久遺跡 環状中心の立石・列石(案内板より)

環状中心から出土した特別な土器(八ヶ岳美術館)

西側の案内板に奇妙な土器 が紹介されています。

『(環状中心の)列石下の土壙(穴。…墓ではない)から出土した』ということで明らかに神聖な場所に埋められていた特別な土器。

マリオの人喰い花のようなカタチ😀。今まで見たことがない様式です。

環状中心の立石・列石付近の土壙から出土した奇妙な土器(西側の案内板より)

実物は、原村歴史民俗資料館を兼ねた 八ヶ岳美術館 で見ることができます。

(写真中央。写真はSNS等へのアップ禁止。許可をいただいて遠目の一枚)

八ヶ岳美術館(原村歴史民俗資料館)阿久遺跡展示

阿久遺跡収蔵庫

阿久遺跡出土の資料は八ヶ岳美術館の他、阿久遺跡収蔵庫(原村文化財収蔵庫)でも見学することができます(ただし見学には複数名以上での事前予約が必要です(原村教育委員会文化財係)

(収蔵庫内の写真はSNS等へのアップ禁止。許可をいただいて阿久遺跡資料を遠目で一枚)

朝早くからスタッフの方に出迎えていただき、約一時間、説明付きで案内していただきました。

たいへん晩強になりました。ありがとうございました。

阿久遺跡収蔵庫(原村文化財収蔵庫)

阿久遺跡収蔵庫(原村文化財収蔵庫)

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