ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

渟名河(ぬなかは)の 底なる玉(翡翠、ヒスイ) 求めて ・・・美しいキツネに(二度)だまされる

出雲のオオクニヌシと、高志(こうし、古志)のクニのヌナカワヒメ沼河比売、奴奈川姫など)が結ばれた話がある(出雲風土記古事記

高志とは今の福井県から新潟県におよぶ日本海の古代のクニで、オオクニヌシの時代、ヌナカワヒメはクニのヒメミコであったという。

ヌナカワは「玉の川」で、玉とはヒスイ(硬玉)の採れる川、つまり 姫川糸魚川市)と解釈されることもある。

万葉集(巻十三 三二四七 作者未詳)にも姫川のうたがある。

渟名河(ぬなかは)の 底なる玉 求めて 得まし玉かも 拾ひて 得まし玉かも 惜(あたら)しき君が 老ゆらく惜(を)しも

(開物訳)ぬなかわの玉のように美しい貴女に出会ったけれど、やがて、老いてゆくのはなんとも惜しいことだ

ヒスイ海岸(新潟県糸魚川市

硬玉(ヒスイ)産地は姫川・青海川(おおみがわ)の源流域、ヒスイ峡(長者ヶ原考古館・ビデオより)

フォッサマグナ糸魚川・静岡構造線)の成せる技だ。

縄文の時代から、川の翡翠を拾い集め、玉に加工していた。

そして、その美しい輝きが、列島の北から南まで、流通していたことが証明されている。

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姫川河口は糸魚川市

ヒスイ峡の大きな岩塊が、割れて川にドッボーン、ゴロゴロと川底を流れ下って、最後に海に流される。

その一部が波の力で海岸に戻されてくる。

カドが取れてまぁるくなったヒスイを拾えるということでヒスイ海岸という名になった。

佐渡小木港)から新潟港ではなく直江津港に渡り、朝から日本海をながめながら国道を姫川に向かった。

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小石がゴロゴロした三百メートルほどの海岸。この中にお宝が!

とは言うものの、ヒスイの原石(実物)を見たことがない。知識はネットで。欲がある割には行きあたりばったり。

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ヒスイ海岸

小一時間ほど。ついに見つけましたよ緑の美しい石一個、輝いているようにも見える。

手で握ってはみ出す感じ。

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海岸で石を探しているプロフェッショナルな感じの人がいたので「鑑定」してもらった(以下、玉石鑑定さんと呼ばせていただく)

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ヒスイ海岸での成果

結果は・・・

左上:ウズラの卵みたいで珍しい模様・・・フォイト電気石トルマリンの一種だそうだ。

左下:やったー!ヒスイだ~・・・と、まちがえて、だまされるため「キツネ石」と云うそうだ。自信があっただけにやや落ち込む。玉石鑑定さんの表情から「あ~だまされた~笑」を読み取ったのは気のせいか

右上:玉石鑑定さんが下さった・・・姫川薬石(やくせき)。「まぁ頑張りなさい」とひとつ。2キロほど袋に詰めてお風呂に沈めておくと遠赤効果?で身体が温まるという。う~ん心が温まった。気を取り直し、もうひとつは自分で見つけた。

右下;水墨画のような石なので拾った・・玉石鑑定さんは無視・ノーコメント(笑)

姫川の川原(姫川のヒスイ産地・小滝川ヒスイ峡に向かう途中)

本物のヒスイを見るならヒスイ峡か、フォッサマグナミュージアム糸魚川市、博物館の大きなテーマのひとつがヒスイ。現物展示の他、原石も売店で売っている)

とりあえず、ヒスイ峡に向かおうとしたが、途中、考え直した。

ヒスイ峡のヒスイは天然記念物で採集禁止。

しかし、川底をゴロゴロ下ったヒスイは・・・

途中の川で拾えるかも

と考え、途中に広くて大きな川原があったので降りて行った。この川原にお宝が(パート2)!

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姫川

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川原で何人かのグループが石を探していた。

ここでも小一時間。探したがさっぱり見つからない。

たまたまグループの一人と話しているうちに、皆さん集まってきて、それぞれが採集した石の品評会を始めた。

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聞くと、ヒスイはほぼ取りつくされてめったに見つからないけど、たまに、値打のあるものが出るという。

特に、川が増水した後は、地元の人がこぞって川原に出て探すそうだ。

地元でもない、知識もない、原石を見たこともない、ないない尽くしが拾えるはずがないと苦笑いしていたら、

一人の方が緑色の小さな石を見せてくださった。

「ははぁ。これはキツネ石ですね」と答えると

「よく知ってるな(合格)」とお褒めいただいた。

そりゃあ、すでに一回、化かされてますから。

「せっかく大阪から来て、手ぶらだと寂しいから持って帰りな」といただいた。

ヒスイ海岸で拾って持ってると申し上げたが「せっかくだからあげる」とおっしゃるので、ありがたく、いただくことにした。

この後、フォッサマグナミュージアム(河原から車で10分)で標本を見たが、このキツネ石「たまに見つかる」クラスに分類されていた。

実は、クリソプレーズという宝石(パワーストーン)になるそうだ。

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キツネ石(クリソプレーズ)

なお、結局、川原遊びと品評会が面白くて、時間切れで、ヒスイ峡には行けなかった。

姫川でヒスイ探しするなら。とりあえず原石を知ろう笑

フォッサマグナミュージアムの展示・売店にて(撮影OKなところ)

ヒスイとキツネ石。違いがわかる以前に、ヒスイの原石のイメージが違うOz。ほとんど見た目が白。そりゃ拾えません。

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ヒスイとキツネ石

なるほど、磨いて、ヒスイらしい美しい色合いになるのか。

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売店にて 3千円から1万円まで(税抜)

紫は「ラベンダー翡翠」というそうだ。黒ヒスイもあるとは。

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ヒスイ色々