*地図中、青が黒曜石(こくようせき)。赤が珪質頁岩(けいしつけつがん)。黄色がサヌカイト(カンカン石)。
(パネルの解説文が読みにくいので、記事末に文字起こししておきました)
常設展示を見て回っていて、このパネルと展示物に足が止まった。
奈良と大阪の境にある二上山(にじょうざん)のことを書こうと、10月に奈良県側の葛城市歴史博物館(奈良県葛城市)に行き、調べ物をしていたところだった。
二上山は、日本の旧石器~縄文~弥生時代を通じて「サヌカイト」の産地。
釘付けになったのは、サヌカイトもさることながら、黒曜石(こくようせき)、珪質頁岩(けいしつけつがん)の主要3石器の各分布エリアが示されていて、このような地図を初めて見たからだ。
ちなみに1.6万年前までの日本は寒冷で、瀬戸内海はなく、樺太・北海道は大陸と地続き、日本はひとつの大きな島、日本海はほぼ内海。
旧石器人は広い大地を陸路で自由移動していたが、それでも、道具(石器)文化によって一定の行動範囲があったのではないか、いわゆる「石器文化圏」みたいなものを想像した。
この後、1万年、温暖化に伴い、海抜にして約120メートルプラスアルファの(大)海進が起こり、人々は「石器が取れる山のある高い所」に移住するとともに、深くなった海を丸木舟で移動する「海人」になった(三内丸山が最盛期の時代に)
パネルを見ていて、北海道のほとんど、南北海道(渡島)と津軽を含む東北、諏訪湖を中心とした中部~関東、近畿~瀬戸内、九州のユニットで、後の縄文時代の文化圏と(おおまかに)符合するように見えた。
当たり前のことかも知れないが、
旧石器時代からの継承観点で、縄文時代の文化圏を考えるアイデアもあるのかと思った。
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なお 昨日記事 の復習も兼ねて。
● 珪質頁岩(けいしつけつがん):堆積岩。海底堆積物に珪素質(生物由来)が浸み込んでできた
● 黒曜石(こくようせき):火山岩。溶岩が噴火直後に急速に冷やされてガラス化した
● サヌカイト:火山岩。マグマが地表近くで冷えて形成された。叩くと金属音がするのでカンカン石と云われる(はるか昔、近畿・中四国に火山があった。二上山は死火山)
石器時代の主な石材(パネルの文字起こし)
打ち割って作る石器の材料には、均質で固い、割れ面が滑らか、破片の縁が鋭いなどの条件が必要です。このような石材には多くの種類がありますが、列島内では。黒曜石(こくようせき)・珪質頁岩(けいしつけつがん)・サヌカイトがよく知られています。旧石器人は、移動生活の中で石材を効率よく確保するために、大形で良質な原石が多量に採取できるこの3石材を特に重要視しました