はじめに
青々とした森の景色、青森ヒバは県木。石川では #アテ(貴)の名で輪島塗漆器の伝統的材料。縄文の #円筒土器文化圏 で #津軽 と #能登 は海路でつながっていました。#蝦夷の英雄 #アテルイ #貴はムチ・モチとも読みます
目次
本文
古代妄想レベル:★★★=MAX ★★=MEDIUM ★=MIN or A LITTLE
前回記事(11月25日)で、青森ヒバはヒノキアスナロという針葉樹で次のように紹介しました。
● 北海道の渡島半島を北限、栃木県日光湯ノ湖付近を南限に分布していて、青森県では下北半島と津軽半島に集中し、植物学的には北方系のヒバとして、南方系のヒバ「アスナロ」と区別されます
● 青森ヒバは真っ直ぐに成長するほか、シロアリも喰わない防虫特性があるため、古代から建築木材として利用されてきました
青い森の誕生と発展
青森ヒバは(行ったことはないですが)ドイツのグリム童話の故郷・黒い森(シュヴァルツヴァルト)のごとく、青い森 が「青森」の名の由来になったのでしょう。
シュヴァルツヴァルトは、密に『植林された』針葉樹・トウヒの木で、森が暗い、遠くから黒く見えることからついた名だそうです。
という前提で、またまた(三回目)ですが、北海道庁HPの円筒土器の分布圏(文化圏)の図をご覧ください。
南東北・北関東方面は外れますが、それ以外、青森ヒバ(ヒノキアスナロ)は、円筒土器の分布圏と重なります。
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そしてドメスティケーション(飼い慣らし)の話。『狩猟・採集』よりも進んだ『家畜・栽培』に近づいた縄文スタイル。
この分布圏に含まれる真脇遺跡では大粒の縄文ダイズ・縄文アズキは考古学の実験が進められていること、津軽あたりの『イノシシ→ブタ(家畜化)の可能性』について紹介しました。
ドメスティケーションの考え方を森にあてはめてみると「伐採」が「植林」 になります。
実際、縄文の三内丸山遺跡(青森市)のクリの管理栽培(果樹園としてのクリの利用)は考古学的に証明されています。
これらの話(点)をつなげてゆくと、道南の渡嶋から青森・岩手・秋田、そして海路を経て能登を包含する円筒土器文化は、農産知識と技術を蓄積し、海の交易圏を持つ高度でダイナミックな文化圏だった と考えられます。
縄文からはるか時代が下って、律令国家の時代。
蝦夷(えみし)の首長、阿弖流為(アテルイ) *1。高橋克彦さんの『炎立つ』や『火怨』が有名でドラマの他、宝塚でも演じられましたね。
時の征夷大将軍・坂上田村麻呂と戦い降伏した後、平安京に連行され、田村麻呂の助命嘆願にもかかわらず、もうひとりの首長・母禮(もれ)とともに河内国(かわちのくに)で処刑された北の英雄です。(京都清水寺に「北天の雄 阿弖流為母禮之碑」関西胆江同郷会の顕彰碑(1994年11月建立))
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気になるのが、その名「アテ」の響き。
同じヒノキアスナロですが、石川県では貴(アテ)として、青森と同じく、県の木に指定されています。
「アテ」は輪島塗・漆器の木地として伝統的に利用されてきました。
ここで、先の「円筒土器の分布圏」の地図をご覧ください。南限の真脇遺跡のすぐ上、能登半島の先端にあるのが輪島です。
石川県(能登半島)の「貴、アテ=ヒノキアスナロ」はどこからやってきたのでしょうか?
地図を見ていると、北東北からの移植と植林を妄想してしまいます。
例えば、丈の長いバケツ(植木鉢)のような円筒土器で海をわたる、とか。
現代も変わらない。古代の「貴」の意味
「貴」の字は古代では、神や貴人、神聖なるものに充てられます。
大日孁貴(おおひるめのむち、アマテラス)、大己貴(おおなむち、オオクニヌシ)、道主貴(みちぬしのもち、宗像三女神)
「貴」は、たいへん特別な響き(音)を与えられた文字で、誰でも名乗れるものではなかったように思われます。
「貴、むち・もち」には「〇〇〇を持っている神・貴人」という『所有』の意味もあります。
アマテラスは大鏡、オオクニヌシは己(大蛇、それが暗示するもの)、三女神は道。
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現代でも、例えば、ポンコツ車とピッカピカ高級外車に乗っている人が二人いるとしたら、人はどちらを特別な目で見るでしょうか。
ももはなさん(id:however-down)がいうところの「見た目が100%」(微妙に意味が違うかも。笑)
Greenさんが(id:shiho196123)が言うところの「押し出し」
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阿弖流為(アテルイ)に「貴」を充てて、ヤマト風に「貴ルイ」とすると・・・
深く、青き、貴(アテ)の森の王
後ろの「ルイ」あるいは「リイ」の意味がわかりませんし、やっぱり今のところ、古代妄想MAX★★★
アラハバキ解・汎日本古代信仰の謎に迫る(新章公開)
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*1:阿弖利為、あてりい、とも。姓は大墓公、たものきみ。ただし姓は朝廷側の呼称の可能性が高い