前回の続き。
出雲井於神社。「いずもいのへのじんじゃ」と読む
「井於」とは「鴨川のほとり」のことで「出雲郷の鴨川のほとりの神社」という意味だそうだ。
下鴨神社の境内、大炊殿(おおいどの)の南に位置する。
京都市考古資料館・古代豪族の勢力。出雲氏は鴨川と高野川の合流地、現在の下鴨神社一帯。
下鴨神社・七不思議の「何でも柊(ひいらぎ)」の場所でもある。
厄年の祈願にこの神社の周りに献木すると、どんな木でも柊になって願い事が叶うことから、そのように呼ばれている。
*****
大炊殿の展示物の中に縁(ゆかり)のものが2つあった。
(左)比良木社とは出雲井於神社の俗称。大黒天像が置かれている
(右)江戸時代の火袋。袋で灯す式の火器、柊の模様
台所で使う「火」の神様。
大黒さんを「台所の神さん」とする信仰は、大炊殿から始まったのかも知れない。
*****
出雲井於神社(比良木社)は、日本書紀・神武天皇二年の条に「葛野主殿県主部(かどのとのもりあがたぬしべ)」とある人々が先祖神としてお祭りした神社という。
古代山城北部に住んでいた一族で「鴨氏と同じ祖先に属していた」と案内板に書いてある。
同じ祖先とは「出雲」のこと。
つまり、この神社は
鴨氏の前に山城北部にいた別の出雲族が創建した古い神社
で、下鴨神社の本殿(鴨氏)ができる前からあったことを意味している。
実際、大炊殿の大黒天像はオオクニヌシが七福神に変わった姿だから「なるほど!」と思っていた。
ところが案内板には、御祭神は建速須佐乃男命(たけはやすさのおのみこと)スサノオノミコトと書かれている。
御祭神がオオクニヌシからスサノオへ
入れ替えられているのは、オオクニヌシが下鴨神社の隠された「御陰様」であるかも知れないと考えた理由のひとつだ。
そして、これが「出雲後物部(いずも・のち・もののべ)」のこん跡と考えた。
*****
神話の世界では、オオクニヌシはスサノオの娘のダンナ、つまり、二人は義理の親子関係であるが、
史実として、スサノオは物部氏の先祖神で、オオクニヌシを先祖神とする出雲とは、一言でいえばライバル関係にあった。
物部氏による出雲勢力地の逆転支配を「出雲後物部」と妄想して古神社巡りしている。
古代妄想レベル:★★★=MAX ★★=MEDIUM ★=MIN or A LITTLE