はじめに
四天王寺の七不思議。#三代目桂米朝師匠(故人)が書いた #米朝ばなし も参考にして紹介します。師匠は、噺の世界を通して、ハイレベルな浪華の歴史研究家でもありました
目次
本文
愛犬クロが事故で亡くなり、悲しんだ、おさだまりの「アホ」な登場人物。
御隠居に連れられて四天王寺さんの引導鐘(いんどうがね)をつきに行き、
三ツつくところ「最後のひとつ、私につかしておくんなはれ」とつくと、ちょっと外れて「クァイーン」と、まるでクロのなき声のような音がしたというサゲ(オチ)。
途中、四天王寺さんを物見遊山(ものみゆさん)、いわゆる観光案内仕立てになっている噺ですが、その境内道中に七不思議が登場します。
いわば、昔の集客宣伝マーケティングで、四天王寺さんが落語家に依頼して創った作品かも知れません。古くは、能の『弱法師、よろぼし』などもそうです。
(一)西門の石鳥居 (二)ポンポン石
不思議その一が、石鳥居。
噺では、大和吉野の金の鳥居、芸州安芸の宮島の鳥居とあわせて日本三鳥居のひとつ、扁額(釈迦如来 転法輪所 当極楽土 東門中心)は弘法大師の書とも、小野道風の自筆とも、紹介されます。
その二が、ポンポン石。
石鳥居の脇。石に四角い穴が空いていて、耳をあてるとあの世の声が聞こえるという。
実は昔の天王寺村の葬式の時、棺をおさめた輿(こし)をこの両サイドの穴にかけ、寺から僧侶が出る時にここで読経したと云われています。
(三)五重塔の三面大黒
先日紹介した三面大黒堂の方角、五重塔の北西隅の屋根にあげられた三面大黒の輝く瓦。
三方正面ということで、どこから見てもその顔が正面に見えると云われています。
私にはやはり、大提灯が「笑ゥせぇるすまん」の「喪黒福造、もぐろふくぞう」に見えるのが謎です。
(四)竜(龍)の井戸
中心伽藍内の北西にある龍の井戸。
井戸屋形の天蓋に描かれた龍が、地下の水面に映って、龍がいるようにみえるという趣向。
説明板に書かれた内容(一部抜粋)。
・・・創建当初の事が記された『四天王寺御朱印縁起』にも「四天王寺の地には七宝が敷かれ、青龍がつねに守護しており、その麗水は東に流れている・・・」とあり・・・
検証の結果、水が東に流れるというのは正しいと思われます(あらためて紹介)
(五)左甚五郎の眠り猫
太子殿・猫の門の眠り猫。現在のものは昭和の時代に再建されました。(私の子供のころ、太子殿や太子殿を囲む門や塀はなかった)
もともとの眠り猫は、左甚五郎(ひだりじんごろう)作で、日光東照宮のものと一対といわれていたという話。
毎年元旦の朝に猫が鳴く話(地元の噂)、大みそかの晩に泣く話(噺の方)、二つあります。
(六)二股竹
同じく太子殿前にあった二股竹。今はもうありません(子供のころにもなかった)
根っこが二股になった竹で「いつまでも離れない」というところから、縁結びの竹として、おみくじが結び付けられていたそうです。
子孫繁栄を祈る、このような植物(樹木)の話は、人を集める効果が高く、多くの神社仏閣に残されていますね。
(七)あの世まで響く引導鐘
落語のサゲのところですが、四天王寺さんではお彼岸のお詣りの中心になっていて、この鐘を鳴らすことで、ご先祖様や亡き人の、あの世(彼岸)での幸せを願います。
あわてず、外さず、つきましょう。カルロス・ゴ~ン カムバック ナムナム~。