はじめに
縄文・石神遺跡出土品を展示している #森田歴史民俗資料館(つがる市)の2回目。今回は #板状土偶。展示品の数は少なかったですが逸品ぞろいでした。#遮光器土偶
目次
本文
前回は円筒土器を紹介しましたが、今回は土偶(どぐう)(10月14日訪問)
森田歴史民俗資料館、板状土偶の展示
たくさんの展示はありませんが、逸品ぞろいです。
土器と同じく、土を焼いて造ったものが土偶で、展示品のような平べったいカタチのものは板状土偶と云われます。
ボディの突起表現は乳房と、おそらく妊娠したふくよかなお腹で、いずれも女性です。
縄文のアーティストたちのユニークな造形表現を考える参考になります。
顔、横に飛び出した両腕、ボディを単純化した「十字形」と「女性表現(乳房とおなか)」を基本にしますが、紋様その他のデコレーション表現は、それぞれに個性があり、いかにも縄文文化らしい、自由な感じがします。
ビッグサイズの板状土偶。
石神遺跡・三内丸山遺跡 板状土偶の比較
三内丸山遺跡(青森市)出土の有名な板状土偶(32センチ)と比べても、ほとんど同じ様式・サイズ。
(三内丸山の方は、頭部と胴体部が別々の場所から見つかったことから人為的に壊されて埋納されましたが、石神遺跡のものは割れ目が見えませんが、どうでしょうか。)
板状土偶と遮光器土偶
板状土偶、円筒土器、(少し時代が下った時代の)遮光器土偶は、いずれも津軽地方(青森県西部、岩木山山麓)を中心に、南北海道から東北北部にかけて広く分布していることが共通しており、この地域には津軽海峡を挟んで、大きな文化圏が、継続して存在したことの証拠となっています。
腕や乳房などのシンプルな造形表現で、板状土偶と遮光器土偶(シャコちゃん)には共通している点があり、つまり、板状土偶が縄文晩期以降に、象徴表現化とともに遮光器土偶に変容していった可能性も考えられます。
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観音林遺跡(五所川原市、岩木川東側・津軽山地の麓)の岩偶(凝灰岩)は、ボディの女性表現は板状土偶、顔やボディを流れる紋様はシャコちゃんで、板状土偶と遮光器土偶をつなぐ、中間的なモノかも知れません。
津軽平野。板状土偶(三内丸山遺跡、石神遺跡)、遮光器土偶(亀ヶ岡遺跡)、岩偶(観音林遺跡)の各位置。