はじめに
落語の #寿限無(じゅげむ)は誰でも知っていると思います。長い名前の中に出てくる『五劫擦り切れ』。劫(こう)は古代インドの時間単位で一劫43億2千万年。そこからひろがる妄想話。#般若心経 #ブラックホール
目次
本文
とんでもない噺(はなし)
誰でも良く知っている落語噺の『寿限無』。生まれた息子の長寿を願って、お寺の坊さんに名付けを頼みにゆき、縁起の良い話を聞くうちに、迷いに迷って、全員集合全部採用!ということで、とんでもなく長い名前になったという笑い話。
寿限無じゅげむ、寿限無じゅげむ、五劫ごこうの擦すり切きれ、海砂利かいじゃり水魚すいぎょの、水行末すいぎょうまつ・雲来末うんらいまつ・風来末ふうらいまつ、喰う寝る処ところに住む処ところ、藪やぶら柑子こうじの藪柑子ぶら仲本こうじ、パイポ・パイポ・パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの、長久命ちょうきゅうめいのいかりや長助
五劫とは、時間の長さを表現します。
三千年に一度、天女が須弥山に降りてきて羽衣を一振り。岩が、かすかにスリ減ります。
それを天女が繰り返すうちに、岩がなくなってしまう時間の長さが一劫。
その時間の長さは43億2,000万年。天女は144万回も羽衣を擦ることになります。
寿限無では、岩が五回も擦り切れるので五劫=216億年という時間ですね。
私たちの宇宙は現在約140億才・・・まだ三劫ちょい。
日本では落語の噺になりますが、インドでは宗教の話になります。
とてつもないブラフマー神の時間
劫=カルパ(kalpa)はインドが発祥の途方もない時間の単位。
インドで時間の単位をあらわすので、トリムルティ(三位一体神)の一柱・ブラフマーの一日一年一生が参考になります。
どれぐらい途方もないのか、シムラーブラフマー単位で、エクセル表をつくってみました。
スゴいですねぇ。最新の宇宙科学の研究では、宇宙の余命はあと1,400億年余りとのことですから(東京大学)、ブラフマーの一生の間に、宇宙が約2,000回生まれて消える計算もう無茶苦茶加藤茶
無限の入れ物。虚無のシヴァ神
インド(ヒンドゥー教)では、世界はトリムルティで構成されるという考え方。つまり、ブラフマーという、とてつもなく巨大な存在が入る『とほうもない巨大な入れ物』が必要になります。
それがシヴァ神(マハーカーラ)ということになるでしょうか。
四天王寺の三面大国堂の案内板には『シヴァ神の化身がマハーカーラ(摩訶迦羅天)で、日本では大黒天と習合した』とあります。
摩訶迦羅天を日本語に訳すと『摩訶=偉大なる』『迦羅=真っ黒な』『天=神』。
まるで、宇宙空間(ダークマター)、あるいは、ブラックホールのような存在です。
宇宙空間はもちろん、どんな物質も吸い込み、光さえも脱出不可能なブラックホールであれば、とてつもないブラフマーを収容することができます。
これはほんとうに妄想(★★★★★。本ブログ最高峰の五つ星*1)ですが、逆説的に、宇宙空間やブラックホール=虚無であるからこそ、何ものをも入れることができると考えることもできます。
有名な 般若心経 は、もともとサンスクリットで書かれたインドのお経で、古代中国で漢訳され、日本に伝わっていますが、
『摩訶 般若波密多心経・・・』で始まるお経の中で、一番たくさん出てくる漢字が『無』ブー。
虚無=ゼロ
ゼロはインドで発見されましたが、もしかしたら、こういう思想哲学がその根底にあったのかもしれないと、五つ星妄想するこのごろです。
人界で世界を維持するヴィシュヌ神
私たちが住む世界や歴史を、般若心経の『色、しき』と考えると、ヴィシュヌ神の働きが何となく、イメージできます。
化身する神ですが、人々の世界が混乱して調和を求める時、世界を維持するために、さまざまなスガタに変化してあらわれるというのが、ヒンドゥー教の考え方です。
日本人にはにわかに信じ難い話ですが、ヒンドゥー教において、ブッダ(釈迦)は、ヴィシュヌの化身のひとつとして考えられています。
ほかには、ハヤグリーヴァ(馬の首)というインドの神が、日本では馬頭観音になったというのが定説です。