ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

【アワシマサマ(前編)】山から転げ落ちてきた地蔵様の正体は日本最大級の巨大陽石【津軽・前田野目 淡島神社】

津軽・中山山脈(梵珠山脈)山中の #淡島神社(前田野目山神社)。かつて地蔵堂があった山から転げ落ちてきた巨石は地蔵様と考えられていましたが、昭和初期に掘り返そうとしたところ5メートルを超える日本最大級の #巨大陽石 であったと判明

目次

本文

前田野目 淡島神社(アワシマサマ)への行き方

まずは、国道101号線を外れて前田野目野脇の集落に降りてゆき、松倉神社の石碑が立っている道を北に、トンネルをくぐります(トンネルの上を国道101号線が通っています。

(行き方は先日紹介した松倉神社(奥宮)と途中まで同じです)

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前田野目野脇の集落のトンネル。上を左右(東西)に国道101号

一本道を進むと赤い消火栓のある分岐に「淡島神社」の看板が立っていますので、指示に沿って左に進みます(右に進むと松倉神社)

淡島神社の看板に沿って左に分岐(ここから約1キロ以上山奥です)

ここからはナビにも表示されない林道に入りますので、こんな感じになります。

林道は前田野目川(渓流)に沿って、ところどころ悪路ではありますが、比較的整備されています。

淡島神社への林道の様子

前田野目 淡島神社(アワシマサマ)

(40.78249123707717, 140.55036534538783)/青森県五所川原市前田野目地蔵沢/カーナビで表示されない林道最奥。行き方は記事参照。鳥居前に駐車スペースあり。

前田野目 淡島神社(アワシマサマ)

前田野目 淡島神社(アワシマサマ)鳥居

小さな祠が御本殿になるでしょうか。

前田野目 淡島神社(アワシマサマ)御本殿

ちょっと失礼して…ギギギー…御神像が鎮座しておられました。

淡島の名がつく神社ですから、少彦名命(すくなひこなのみこと)でしょうか。

ただ、優しい観音様にも見えるので、淡嶋神(女性神)かも知れません。

前田野目 淡島神社(アワシマサマ)御神像

加太(かだ)の淡嶋神社や淡嶋神については過去記事のリンクを張っておきます。

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アワシマサマ 巨大陽石

崖の土に埋もれていますが、アワシマサマ と呼ばれる巨大陽石です。

淡島神社 崖の土に埋もれた状態のアワシマサマ

青森県立郷土館研究紀要の資料*1で紹介されていたのを読み、この度参拝させていただきました。

前田野目の須恵器窯跡群から毬ノ沢沿いに林道を奥深く入った地点(地蔵沢)に5メートル以上あろうかと思われる長大な石体がある。古くは沢の上に地蔵堂があって、そこから現在の場所まで地蔵尊が転げ落ち、「転び地蔵」として信仰されるようになり、また付近の沢を「地蔵沢」と呼ぶようになったが、昭和初期にその「地蔵」を掘り起こそうとしたところ、地蔵ではなく「巨大な陽物」であることがわかったという。根元には陰嚢を彫刻した線もあるとされる。

淡島神社 アワシマサマ

また梵珠山の松倉神社登山口付近にある「胎内くぐり(鼻潜り岩)」が、この陽石と対をなしているといわれ、昔は地蔵沢から胎内くぐりまで直通の小径があったという。

松倉神社の参拝で、胎内くぐり(鼻潜り岩)を探しましたが、樹々に囲まれており発見できませんでしたが、松倉神社の御朱印所で見た梵珠北斗星の張り紙の左上隅に小さく写真が掲載されていました。

松倉神社登山口付近の胎内くぐり(鼻潜り岩)。梵珠北斗星の張り紙より

昭和5年に東奥日報社発行の「サンデー東奥」に紹介されてからは、子宝の神として一躍有名になり、県内外から多くの婦人が訪れるようになった。現在、この「巨大な陽石」には紅白の布がかけられており、そばには小さな祠がある。中には金色の男性器型奉納物(木製)が2体祀られている(2011年6月)地蔵が転げ落ちた際に、うなり声をあげたという伝説がある。

今回の参拝では祠の中の金色の男性器型奉納物はすでに見当たりませんでしたが、同じく梵珠北斗星の張り紙の中に写真が掲載されていました。

淡島神社御神像に供えられた金色の男根像。梵珠北斗星の張り紙より

紅白の布はなかったですが、落ち葉の中に、アワシマサマに懸けられていたであろう紫色の布が落ちていました。

梵珠北斗七星ではアワシマサマは『補星』のポジション

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梵珠北斗星の張り紙(松倉神社御朱印所)

*1:青森県における生殖器崇拝資料」。増田公寧。資料名をグーグル検索するとヒット、PDFでダウンロードできます