古代妄想レベル:★★★=MAX ★★=MEDIUM ★=MIN or A LITTLE
丁未の乱(ていびのらん、587年)で物部氏(宗家)とともに前方後円墳の古墳時代が実質的に終わった。そして、副葬品としてのヒスイ勾玉や埴輪などの「ものづくり産業」も終焉を迎えた。
前回記事
教科書では、崇仏派の聖徳太子&蘇我氏が、排仏派の物部氏(宗家、守屋)を滅ぼし、四天王寺さんを建立したと教えられる。
しかし、そもそも、蘇我氏はいたのか も含めて、丁未の乱の本質は、宗教戦争ではないと思う。
(記事後半の「大和の豪族分布図」で蘇我氏のエリアが飛鳥。日本史では蘇我氏は飛鳥限定。大阪・京都には寺社の由緒を除き「民間伝承」はゼロ。飛鳥でも実在を確実にする物証はいまだに出ていない。何度か専門家に質問したことがあるが、どうやら考古学でも「いたものと想定」して扱われているようだ。その確認は簡単、機会があれば質問すればよい。)
では何が真相なのか。その前フリを前回書いた。
ヒスイは「¥円」、鉄鋌は「$ドル」のようなものだった
ヒスイも鉄鋌(てってい)も取引市場で交換される国際通貨(ハードカレンシー)だった。
韓半島南部に取引市場があったことは史実で
後漢書韓伝(西暦200年代後半~400年代の情勢か?)に「國出鐵 濊倭馬韓並従 市之凡諸貨易皆以鐵為貨」とある。
訳:その国は鉄を産出し、ワイ、ワ(日本のこと)、馬韓は皆採る。市では鉄を貨幣としてモノを取引する
物部氏は「ワ」として参入し、ヒスイを売って、鉄(鉄鋌、てってい)を買い、日本に輸入した。
当時の日本列島では海退で地上に現れた沖積平野に、多数の墳墓を築き、周囲の水田化を進めた古墳時代で、その「前方後円墳事業」を推進したのが物部氏。
新国土開発にまい進する国内では鉄の需要が爆発的に増え、価値が急騰する。
通貨的な価値の循環が生む巨大な利益、そして独占
● 中華王朝で高いニーズのあるヒスイを国内で調達し、
● 国内で価値が高騰する鉄に、マーケットで交換する
この「価値の循環」で莫大な利益が生まれるシステムを物部氏が築き「独占」した。
具体的には、糸魚川(高志)などのヒスイを漁り、産地を独占した(国内にはほかにも産地が確認されている。ただし糸魚川産は質量ともに最高品質)
そして圧倒的なヒスイの出荷量で、韓半島の取引市場を事実上、創り、独占・コントロールしていた。
現代風にいうと、日本銀行(紙幣の印刷権)と造幣局(硬貨の鋳造権)を独占支配していたようなもの。
さてこのような「物部氏の力の源泉とその影響力」に気付き始めたヤマト王権(大王家と諸豪族)
経済的な覇権を持たない王権など、世界史を探してもあり得ない
この場合の経済覇権とは「鉄」のこと。
さてどうするか?そして、どうしたのか?
続きます。