ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

【乳海攪拌】ヒンドゥー教の天地創世神話とヴィシュヌ神【神話の生まれ方】

はじめに

インド神話で #ラーフ #ケートゥ が登場する #ヒンドゥー教 天地創世神話 #乳海攪拌。不老不死の霊薬 #アムリタ を巡って天界人とアスラ(阿修羅)の争奪戦 #ヴィシュヌ #チャクラ #日食 #月食

目次

本文

(九曜紋の考察シリーズ、昨日の記事(大宇宙の巨大な蛇 ラーフとケートゥ) の続きです。)

参考に、インド(ヒンドゥー教)の創世神について。

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シヴァ神ブラフマー神・ヴィシュヌ神は、ヒンドゥー教の三位一体(トリムルティ)

ヒンドゥー教の三位一体(トリムルティ)シヴァ神ブラフマー神・ヴィシュヌ神とその奥さんの神々。

ヴィシュヌ神は、さまざまな姿に化身(アヴァターラ)する能力が特徴。仮想空間のキャラクター「アバター」の語源でもあります。

ヒンドゥー教の天地創世神話【乳海攪拌】

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Wiki「乳海攪拌」より。大マンダラ山に竜王ヴァースキを巻き、綱引きする天界人とアスラ(阿修羅)

詳しくはWIki「乳海攪拌」をお読みいただくとして、あらすじ。最後が日食と月食の話です。

● 天界を訪れた短気な賢者・ドゥルバーサスに、飼っていた象が失礼をし、怒った賢者は呪いをかけ、天界人は力を失う

● それを知ったアスラ(阿修羅)が天界を襲うが、天界人はなすすべがなく、トリムルティにヘルプを求める

● ヴィシュヌ神は、不老不死の霊薬アムリタを飲めばよいと、アムリタを持つ医神を生み出すため、世界を(再)創世することを提案

● そこで天界人は、創世に協力させる目的でアスラ勢力と和睦

● ヴィシュヌ神は、巨大な亀に化身して、背中に竜王ヴァースキを巻き付けた大マンダラ山を背負い海に入り、天界人とアスラでヴァースキのアタマとシッポを綱引きさせ、海を攪拌させる

● 大山が動いて、海と山の生き物は、ことごとくすりつぶされ焼かれ、乳海になり、さまざまなものや神が生じた。最後に霊薬アムリタの壺を持つ医神があらわれる

● 天界人とアスラの間でアムリタの争奪戦が始まり、アスラが先に手に入れるが、ヴィシュヌ神が美女に化けて取り戻し、天界人の手元に

● しかし、このときアスラの一人・ラーフ が、こっそりアムリタを飲んだ(不老不死となる)。これを見た太陽神スーリヤと月神チャンドラがヴィシュヌに告げ口する

● 怒ったヴィシュヌが チャクラ という刃先の鋭い円盤を投げて、ラーフの首をチョンパ。切られた胴体(シッポ)は ケートゥ に。

【右手(上)に持つ武器チャクラは、転法輪(剣九曜)に似ています】

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ヴィシュヌ神 4本の手にチャクラ、こん棒、ほら貝、蓮華を持つ(Wikiより)

● ラーフもケートゥも不老不死になり、常に天空を回遊しながら、かつての告げ口の復讐にと、太陽と月を飲み込むものの、胴体がないため、すぐに外に出てしまうことを繰り返す。(日食と月食

神話の生まれ方

www.zero-position.com

バラモン(司祭・神官)たちは、日食や月食の占いはできるものの、では、それがなぜ、どうして起こるのか、説明する必要に迫られます。

そこで、自然現象を擬人化(神格化)し、なるほど!ストーリーに仕立て上げた、という風に読むことができます。

乳海攪拌はその好例です。

現代人には「神話」ですが、古代の人々にとって、自然現象の説明概念であり、今でいうところの「科学」や「学問」に相当するものであったと言えるでしょう。

であるからこそ、遣唐使の時代、空海さん(弘法大師)や最澄さん(伝教大師)が、学問としての密教を命がけでもたらし、はじめは天皇・皇族から、最後には庶民にまで広く受け入れられ、今に至る長い歴史を築くことができました。

最澄さんのは道教と習合した古い時代の天台山密教空海さんのは長安で学んだ最先端のインド密教

密教とは、釈迦仏教に、ヒンドゥー教(天部)が習合した、当時の「新しい学問体系」と考えれば、わかりやすいです。

(まだまだ続きます)

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