ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

【天若日子と下照姫】夫婦神の古代信仰。倭文の「アラ」と蟹守の「ハバキ」

葛木倭文坐天羽雷命神社(加守神社)は、遠く離れた荒脛巾神社(あらはばきじんじゃ、宮城県)と祭式が共通していることから、私が #アラハバキ を考えるキッカケになりました。少しずつ進展しておりますのでご報告。

目次

本文

倭文(しとり)と蟹守(かにもり)

葛木倭文坐天羽雷命神社(かつらき・しとりにいます・あめのはいかづちみことじんじゃ、奈良県葛城市加守、加守神社)の続きです。

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遠く離れた宮城県多賀城市・荒脛巾神社(あらばばきじんじゃ)と祭式が共通していることから、

アラハバキは、縄文・弥生の過渡期の時代から共有されていた古神道の本質ともいえる信仰だったのではないかと考えるキッカケになった神社です。

06)アラハバキ解(1)宮城と奈良の二社比較

荒脛巾神社(宮城)と葛木倭文坐天羽雷命神社の共通性

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謎解きのキーワードは機織(織物・染色)の「倭文、しとり」と助産の「蟹守、かにもり」。

一言でいうと、倭文が「アラ」で「蟹守」が「ハバキ」に相当します。

葛木倭文坐天羽雷命神社の御由緒には、それらのヒントとなる内容が書かれています。

(開物の解説も加えています)

葛木倭文坐天羽雷命神社【倭文】【荒衣の「アラ」。転じて子安と子育】

御祭神:倭文の祖・天羽雷命(あめのはいかづのみこと)

古書によると天照大神の荒衣和衣(あらたえにぎたえ)の御衣を織り*1、天孫降臨の時、御衣織として共に降臨、機織の術を授けられた神です。伊勢、駿河、伊豆、甲斐、近江、上野、丹後、但馬、因幡、伯耆などの国々に祀られているが、その根本の神と言われて来た。倭文は文布(ぶんぷ、あやぬの)で、子孫も倭文氏とし、諸国に機織と裁縫の術を伝えた。

当社は先日紹介した棚機神社(葛城市太田)の地から、この加守に遷座して来たと伝わります。(棚機神社の御由緒に記載)

ちなみに御祭神の名の「雷」の意味。

「雷」というと雄々しくて荒々しいイメージですが、機織(はたおり)ののどかなつち音(トントンカラリ)を表現します。

御祭神の名は「鳥の羽のような美しい布を機織る神様」と解釈できます。

私はこの神様を天若日子(あめのわかひこ)と解釈しました。

(以前、この神様を下照姫と解釈する記事をここで書きましたが訂正します)

アメノワカヒコは下照姫の夫であると記紀ともに書かれていますが、出雲伝承は建葉槌(たけはづち)*2であるとも伝えています。

加守(掃守)神社【蟹守】【蟹を祓う箒「ハバキ」。転じて安産と祓い】

御祭神:掃守の祖・天忍人命(あめのおしひとのみこと)

古語拾遺に、神武天皇の御父、鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)の生まれます時、海辺に宮室(産室)を建て箒を造り蟹(胎盤)を掃ふ(はらう)、これをもって蟹守と言う。中古、掃部(かもり、助産)の職は、この神より出たものです。蟹守・加守は祓いの意であり、この氏族は機織(倭文)とともに全国に散在している。

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この神様の名は「忍、おし、あるいは「せ」」の解釈が難しくまだよくわかりません。

ただし、助産(産婆)の祖であることから考えて、産湯を使う御井神(みいのかみ)つまり下照姫(したてるひめ)であると解釈しました。

下照姫とアメノワカヒコならば夫婦で祀られていることになります。

ちなみに、私が下照姫とアメノワカヒコ夫婦の難波の宮があったと推理する産湯稲荷神社(大阪市天王寺区)は、ふるくは字掃部屋敷(藤原殿)と呼ばれていました(産湯玉之井・御由緒)。つまり掃守から、助産にかかわる「産湯」の名が付いたと考えられます。

長くなりましたので続きます。

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加守神社参道。奉納された碑に「産婆」の文字

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*1:伊勢神宮では、毎年春と秋、天照大神に絹の和妙(にぎたえ)と麻の荒妙(あらたえ)をお供えする神御衣(かんみそ)祭が行なわれる。和妙は神服織機殿神社(かんはとりはたどのじんじゃ)で、荒妙は神麻続機殿神社(かんおみはたどのじんじゃ)で奉織される

*2:伯耆国一宮・倭文神社の御祭神