目次
- ファースト・ネーション(カナダ先住民)神話のRaven(ワタリガラス)
- アイヌ伝説のカラス
- クリル(千島)列島を渡るワタリガラス
- 世界の神話に共通する「導く者」のイメージ
- トリックスター (trickster)
- ヤタカラス神話
- 出羽・羽黒 もうひとつのヤタガラス伝説
- 飛鳥(あすか)という名と柿本人麻呂(2020年9月)
- 古代津軽・考察の基礎データ(2020年11月)
- オホーツク文化(2020年10月)
- アラハバキ解・汎日本古代信仰の謎に迫る(2020年12月、始めました)
本文
ファースト・ネーション(カナダ先住民)神話のRaven(ワタリガラス)
ワタリガラス(Raven)はトーテムポールで羽根をひろげる「海を渡る」カラスです。
先住民の神話では、世界に光をもたらした創造主、最も重要な文化的なヒーロー、何事をも可能にする、いたずら好きで、ずる賢さも兼ね備えた手品師のような存在として位置づけられています。
マジックを使い天地創造に関係したと云われており、太陽・月・星を空へ、魚を海に、鮭を川へ、食べ物を陸へ導きました(Haida族伝承)
アイヌ伝説のカラス
アイヌ民族は、北海道、サハリン(樺太)、クリル(千島)に広がって生活していました。
カラスにまつわる言い伝えは多数あり、神の名(カムイ)のついた「カララクカムイ」、年老いた賢者のカラス「オンネパシクル」、人を化かす妖怪的な「ペンタチコロオヤシ」などのバージョンがあります。
いずれにしても、道に迷った人間が遭遇するというシチュエーションで、正しく導くか(正)、誤った方向に導くか(邪)の存在。
アイヌ学者の知里真志保(アイヌ民譚集)は「オンネパシクル」(賢者のカラス)をワタリガラスとしました。
クリル(千島)列島を渡るワタリガラス
北千島(クリル)~カムチャツカ半島で繁殖するワタリガラスのグループは、知床半島にわたり、襟裳岬まで生息しています。
70センチの大型で目立ち「カポ~カポ~」という独特の啼き声は、アイヌや先祖の縄文の人々が島伝いに海をわたるのに、たよりになる「先導者」だったことでしょう。
クリルの先にカムチャツカ半島、その先にアリューシャン列島、さらにその先にはアラスカ、北米大陸。
オレゴン州では縄文とよく似た遺跡、遺物が多数発掘されています。
知床のワタリガラスとカナダのRavenのつながり(海の道)が、科学的に明らかになる日が来ることを楽しみに妄しています。
世界の神話に共通する「導く者」のイメージ
旧約聖書の「ノアの方舟」で大洪水をおこした大雨が終わった後、ノアがワタリガラスを放ち、陸地を探しました。
北欧の神話ではオーディンの先駆け、フギンとムニンの2羽のワタリガラスがよく知られています。
世界共通で、目的地を知らせ、「導く者」としてのイメージ。
日本神話にも導きの「ヤタカラス、八咫烏」がいます。
トリックスター (trickster)
象徴心理学の草分け・ユングが提唱した「ストーリーの展開を変える者、物語を導く者」
静かな水面に石を投げるがごとく、安定を崩し、新たなストーリーを展開させる存在。
スサノオがそうであるし、中国では孫悟空、欧米ではピーターパンが有名どころ。ネズミ男もそんな感じ。
話の筋道を変えるキーパーソンであるがゆえに「善と悪」「創造と破壊」「賢さと愚かさ」「誠実と気まま」・・・
二面性が特徴でイタズラ好き(最後は許されるキャラ)。
ファースト・ネーションズのワタリガラスはトリックスターそのものです。
ヤタカラス神話
熊野本宮大社では「ヤタガラス」はスサノオのお仕えとされます。
下鴨社・上賀茂社では「ヤタカラス」は太陽と云われた賀茂建角身命(かもつぬみのみこと)であると伝承されています。
繋いでみるとトリックスター(スサノオ)が送り出したトリックスター(ヤタカラス)が「神武東征」神話を展開。
少々混乱しますが「ダブル・トリックスター・キャスト」で展開するストーリーが意味するものは何でしょうか?
とにかく、日本の神話や古代史にも鳥がよく登場します。
出羽・羽黒 もうひとつのヤタガラス伝説
記紀(ヤタガラス神話)は飛鳥時代に生み出されたと考えられます(成立は飛鳥時代末~奈良時代)
飛鳥(あすか)という名と柿本人麻呂(2020年9月)
古代津軽・考察の基礎データ(2020年11月)
津軽では北海道のことを渡嶋(わまりじま)、お島とよんでいたようです。
オホーツク文化(2020年10月)
アラハバキ解・汎日本古代信仰の謎に迫る(2020年12月、始めました)
当ブログは日々のテーマで、多いときは十数話シリーズで書いていますが、どうしても書きっぱなしになりがち。そこで、2019年4月からブログを始めて、大きなテーマも見えてきたこともあり、長めのルポ風は投稿サイトで、別途、作品化することにしました。
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