ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

神話と導きのトリックスター ワタリガラス ヤタガラス 雑考

ファースト・ネーション(カナダ先住民)神話のRavenワタリガラス

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ファースト・ネーション(カナダ先住民)神話 Ravenの小像(国立民族学博物館で購入)

ワタリガラスRaven)はトーテムポールで羽根をひろげる「海を渡る」カラスだ。

先住民の神話では、世界に光をもたらした創造主、最も重要な文化的なヒーロー、何事をも可能にする、いたずら好きで、ずる賢さも兼ね備えた手品師のような存在として位置づけられている。

マジックを使い天地創造に関係したと云われており、太陽・月・星を空へ、魚を海に、鮭を川へ、食べ物を陸へ導いたとされる(Haida族伝承)

アイヌ伝説のカラス

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天理大学付属・天理参考館にて

アイヌ民族は、北海道、サハリン(樺太)、クリル(千島)に広がって生活していた。

カラスにまつわる言い伝えは多数あり、神の名(カムイ)のついた「カララクカムイ」、年老いた賢者のカラス「オンネパシクル」、人を化かす妖怪的な「ペンタチコロオヤシ」などのバージョンがある。

いずれにしても、道に迷った人間が遭遇するというシチュエーションで、正しく導くか(正)、誤った方向に導くか(邪)の存在だ。

アイヌ学者の知里真志保アイヌ民譚集)は「オンネパシクル」(賢者のカラス)をワタリガラスとした。

クリル(千島)列島を渡るワタリガラス

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北千島(クリル)~カムチャツカ半島で繁殖するワタリガラスのグループは、今でも、知床半島にわたり、襟裳岬まで生息する。

70センチの大型で目立ち「カポ~カポ~」という独特の啼き声は、アイヌや先祖の縄文の人々が島伝いに海をわたるのに、たよりになる「先導者」だったことだろう。

クリルの先にカムチャツカ半島、その先にアリューシャン列島、さらにその先にはアラスカ、北米大陸

オレゴン州では縄文とよく似た遺跡が多数発掘されている。

知床のワタリガラスとカナダのRavenのつながり(海の道)が、科学的に明らかになる日が来ることを楽しみに妄想している。

世界の神話に共通する「導く者」のイメージ

旧約聖書の「ノアの方舟」で大洪水をおこした大雨が終わった後、ノアがワタリガラスを放ち、陸地を探した。

北欧の神話ではオーディンの先駆け、フギンとムニンの2羽のワタリガラスがよく知られている。

世界共通で、目的地を知らせ、「導く者」としてのイメージ。

日本神話にも導きの「ヤタカラス」がいる。

トリックスターtrickster

象徴心理学の草分け・ユングが提唱した「ストーリーの展開を変える者、物語を導く者」

静かな水面に石を投げるがごとく、安定を崩し、新たなストーリーを展開させる。

スサノオがそうであるし、中国では孫悟空、欧米ではピーターパンが有名どころ。ネズミ男もそんな感じ。

話の筋道を変えるキーパーソンであるがゆえに「善と悪」「創造と破壊」「賢さと愚かさ」「誠実と気まま」・・・

二面性が特徴でたいていイタズラ好き(最後は許されるキャラ)。

ファースト・ネーションズワタリガラストリックスターそのものだ。

ヤタカラス神話

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熊野本宮大社では「ヤタガラス」はスサノオのお仕えとされる。

下鴨社・上賀茂社では「ヤタカラス」は太陽と云われた賀茂建角身命(かもつぬみのみこと)であると伝承されている。

繋いでみるとトリックスタースサノオ)が送り出したトリックスター(ヤタカラス)が「神武東征」神話を展開させる。

頭が混乱するが「ダブル・トリックスター・キャスト」で展開するストーリーが意味するものは何だろうか?

とにかく、日本の神話や古代史にも鳥がよく登場する。

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