ものづくりとことだまの国

縄文・弥生・古墳時代の謎。古神社、遺跡、古地名を辿り忘れられた記憶、隠された暗号を発掘する。脱線も多くご容赦ください

奥明日香・飛鳥川の川上、フナト川 男渕 斉明女帝の雨乞い神事(3)龍神が住む滝 三頭の狛犬

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男渕 林道から

栢森(かやのもり)の女渕(めぶち)から、細谷川(フナト川)の上流・約2キロのところにある男渕(おぶち)にお参りした。

飛鳥時代、斉明女帝が皇極天皇の時代に、雨乞い神事を行ったことが日本書紀に書かれているが、おおよそ3ケ所が推定される。

● 稲渕、飛鳥川上坐宇須多伎比賣命神社

● 栢森、女渕

● 畑、男渕(畑の集落は通らず栢森から)

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女渕から林道に沿って1.5キロほど進むと最初の滝が見え、その先、道の分岐に道標がたっている「下畑⇔男渕」(↓)

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道標に従い林道を300メートル進むと、男渕の案内札(↓)

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案内札が差す方向に進むと、川原に降りて行くが、降りたあたりから上流へ向かう道はなく、渓流を上がってゆくしかない(↓)

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当日は、三男同行の上、下は濡れてもよい恰好で来たので、渓流を上がってゆくことにした。

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約300メートル上流に男渕。二筋に割れる流れが目印。

見上げた高さは4~5メートル。その奥、傾斜のある滝が続いており全長10メートルぐらいか。

滝壺から先は岩場が急で上がれないため、ここで終了。

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男渕 渓流から

川原の出発点に戻り、下流に100メートルほど降りて行くと、小さな滝と大きな静かな渕があった(↓)

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最後に男渕全体を眺めようと、林道に戻り、上流に歩いてゆくと約20メートルのがけ下に男渕が見えた(冒頭の写真)

林道から崖を降りるルートはない。

結局、男渕に近づくには、先ほどのように、渓流を足もとを濡らしながら歩いてゆく他ない。

龍神が住む滝

細谷川はフナト川とも云われる。フナトは出雲系の祖神「クナト神」の意で「熊野」に通じる。奥深い山や道標になる社として信仰されるが、奥明日香では川そのものが信仰の対象だ。

下流飛鳥川上坐宇須多伎比賣命神社(稲渕)にオオクニヌシの后・タキツ姫(罔象女神、みつはめのかみ)、

伽夜奈留美命神社(かやなるみのみこと、栢森)にオオクニヌシの娘・下照姫(したてるひめ)、がそれぞれおられる。

伽夜奈留美命神社は明治期、栢森集落に富岡鉄斎が創建したが、もとは女渕にあったものと考える。

おそらく、皇極天皇の雨乞い神事は、主に女渕で行われたのだろう。男渕には川原で神事を行う社の場所がない。

飛鳥川からフナト川にかけて「母(妻)→娘」となれば、最奥、男渕の龍神は父「オオクニヌシ」と考えてもおかしくはない。

もちろん、オオクニヌシとタキツ姫が飛鳥に来た歴史はない。

三頭の狛犬(伽夜奈留美命神社)

富岡鉄斎石上神宮(いそのかみじんぐう)の宮司時代に、古くからの祝詞を根拠に創建したというが、さて、どのような解釈をしたか・・・それは「三頭」の不思議な狛犬に表現されている気がした。

左・オスの足にまとわる小さな狛犬。下照姫と見れば、父に対する想い、故郷・出雲への想いだろうか。

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左・オオクニヌシと下照姫、右・タキツ姫

下照姫のことを詳しく学ばなければならない。

たいへん美しい女性だったそうだ

(女渕にて)フナト川を遡上する龍に見えた。滝壺が顔、渕が胴体。あの小さな狛犬のように男渕に向かう。

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女渕

お参りの際の注意点

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女渕と男渕

・男渕まで車で行けるが、狭い林道が続くため路肩(崩れ)に注意。徐行(時速20キロ以下)で進むのが基本。

・男渕にアプローチするには、案内札のところから川原に降りて、渓流を上ってゆく他ない

・岩場は滑りやすいので最低限、運動靴。ハダシは苔で滑りやすいほか、慣れない痛さに気をとられるのでかえって危険

・二人以上でゆくこと(渓流のぼりは単独行厳禁)

・植物を傷つけたり木を折ったりしないように注意を払う。小石ひとつ持ち帰りをしない(フナト川はご神域)

・2-3日天気が続いている日の太陽が高いうちに。前日大雨の時の渓流のぼりは止める

・体力に自信のない人は、林道から拝むだけにする