はじめに
日本古代史にとっての黒船でしょうか。謎の多い #前方後円墳 の秘密に迫る研究がイタリアからやってきました。#太陽祭祀 との関係は私も推理していますが、前方部の直線ラインから日月の軌道に迫るとは Splendida!#箸墓古墳 #仁徳天皇陵
目次
本文
時々読んでいるナゾロジーの歴史・考古学カテゴリーでちょっと面白いニュースが流れていました(1月22日配信)
ナゾロジーなんて、怪しげなネーミングですが、中身はしっかりした記事が多いです。
■一次資料(元論文)
海外でも、前方後円墳に興味を持つ科学者が多いそうで、しかし残念ながら、日本の研究者でさえ、宮内庁の壁が立ちはだかって実地調査することもままなりません。
そんな中『イタリアのミラノ工科大の研究チームが、リモートセンシング調査の強力なツールである高解像度の衛星画像を使用』して『100基以上の前方後円墳を対象に、上空から見た衛星画像を分析して、古墳と周囲の土地、空との位置関係を調査』した結果が、1月14日付で学術誌『Remote Sensing』に掲載されたとのこと。
前方後円墳の多くは、太陽と月の登る方向に向いている
結論を紹介すると、『前方後円墳の多くは、太陽と月の登る方向に向いている』、一例として『(大山古墳=仁徳天皇陵は)古墳の入り口から始まる通路が、太陽が昇って沈んでいくライン(弧)と同じ方向になっていた』ということです。
右図の説明)各古墳の前面の方位の分布(青線)、太陽の昇る方向に向いているものが多いことがわかる / Credit: Arianna Picotti et al., Remote Sensing(2022)
右図の「SS-WS」のラインが夏至・冬至の日の出・日の入の角度を結んだものかと思われます。ほぼ近畿地方のものでしょう(日の出・日の入の角度は緯度によって変化します。)
研究チームの考察、記事よりコピペ)「これは偶然ではなく、日本の皇室の伝統や、天照大神(あまてらすおおみかみ)の直系の子孫と考えられる天皇の神話的起源と一致している」
古代妄想の見解
「前方部の直線部の方向」で考察するというのは意外でしたが、むしろ「モノ」として見る外国の研究者のほうが、そういう発想になるようです。
前方後円墳の方位と日月の運行軌道で考察するやり方は、たいへん同意できますし、さらにくわしく解析してゆくと、新発見があるかも知れませんね。
月軌道での考察はしたことがないですが、少なくとも最初の前方後円墳・箸墓古墳と太陽軌道とは日の出・日の入ラインとの角度が深すぎて、関係なさそうです。
ただ、箸墓古墳と太陽祭祀(三輪山、大神神社)との関係は、密接ですし、明らかです。
アラハバキ解・汎日本古代信仰の謎に迫る|46)アラハバキ解(7)【前期】前方後円墳・考|NOVEL DAYS
前方後円墳については、ケース・バイ・ケース、ひとつひとつに個性というか、おそらく埋葬された人物や、各時代・地域の政治的宗教的なストーリーがあり、日月の軌道も含めて、多くの仮説を挙げて、全方位で考える必要があると思っています。
例えば、仁徳天皇陵の墓域は、住吉大社の『奥の天神・生根神社-本殿域中心-石舞台-神主館・現在の行宮跡』を結ぶラインに並んでいます。
大切なことは、イタリアの成果を含め、こういった眼前の客観的な事実から、現代人は、どういった歴史(史実)を考え、振り返るかだと思います。